照葉樹林文化とは何か―東アジアの森が生み出した文明 (中公新書) の感想

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参照データ

タイトル照葉樹林文化とは何か―東アジアの森が生み出した文明 (中公新書)
発売日販売日未定
製作者佐々木 高明
販売元中央公論新社
JANコード9784121019219
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 生物・バイオテクノロジー » 自然観察

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 照葉樹林文化とは中尾佐助氏の『栽培植物と農耕の起源』(岩波新書、1966年)ではじめて提唱され、『照葉樹林文化』(中公新書、1969年)によって深く議論され、著者も参加した『続・照葉樹林文化』(中公新書、1976年)に至り東亜半月弧の提唱に至る流れがありました。そしてその後、照葉樹林文化論をリードしてきたのは著者であることは間違いないでしょう。しかし、藤原宏志氏の『稲作の起源を探る』(岩波新書、1998年)によって長江中流域の遺跡や水田遺構に関する報告があり、照葉樹林文化のセンターとされる東亜半月弧から稲作の起源が外れてしまうという事態となりました。しかし、稲作文化を既存の照葉樹林文化の上に載せて発展したと推測すれば、つまりは必ずしも稲作は照葉樹林文化の要ではないと考えれば問題ないということのようです。そもそも、中尾佐助氏も当初から照葉樹林文化とは衣食住や祭祀などにかかわる文化複合のことであると言っておられたわけで、稲作が日本人にとって重要であるからと言って必ずしも特別視するべきではないのです。
 さて、本書は出版が2007年ということですから、照葉樹林文化の提唱から実に40年経過しているわけで、その間に新たな発見が沢山あり、著者の考えもそれに応じて多少の変化はあると思います。そこで、本書は今までの経過を追いつつ新しい知見も盛り込み、ある意味で照葉樹林文化論の総まとめのような様相を呈しております。ですから、過去になされた議論の大半は本書で整理された形で知ることができると考えて差し支えないのではないでしょうか。

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