ポスト戦後社会―シリーズ日本近現代史〈9〉 (岩波新書) の感想

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タイトルポスト戦後社会―シリーズ日本近現代史〈9〉 (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者吉見 俊哉
販売元岩波書店
JANコード9784004310501
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

「もはや戦後ではない」と経済白書に記されたのは1956年であるが、
“戦後”でないならじゃあなんなんだと問われれば、それはずばり「ポ
スト戦後」である。とまぁ、おまえふざけているのかと言われそうだが
(というものの実はこの造語は的を得ていると思う理由は後述)、本書
はそんなポスト・ポストウォーとしての日本を巡る現代史だ。

本書は戦後左翼、戦後産業構造、家族、郊外、平成不況、外交という
別々の六つの観点からこの「ポスト戦後」を論じている。数多の言説を
拾い集め、一つの論として現出化させるその著者の仕事の手際のよさ
はさすがの一言につきる。

アメリカを震源とする<帝国>とマルチチュードが未だ軸としてあると最
終的には提示するが、そもそも日本がアメリカの勢力圏に入ったきっか
けは敗戦。つまり「戦後」という時代区分と同い年なわけで、そういう意
味では「戦後」は続いているのだ。いくつ「ポスト」をおったてようと、ポス
ト・ポスト・…ポスト・戦後と、「アメリカ」という名の「原父」はゾンビになろ
うが生きているというメッセージが込められているとするのは、深読みの
しすぎか?

ただ、どうも見田宗介の言説の影響下にある東大社会学系の学者とい
うのは、著者も含めてやたらと見田の唱えたあの「理想の時代」「虚構
の時代」云々という「物語」にこだわりがちなのだが、果たしてこれって
どうなのだろうか。例えば、この本にも登場する永山事件の分析の箇所
は、大沢真幸『不可能性の時代』とほとんどまるかぶりといっていい。こ
れを言っては元も子もないが、一つの事象で帰納法的にその時代を分
析するのって、よく考えたら極めて大それたこころみではないだろうか。
そもそも、「社会」学というのが尊大なネーミングなのだけれども。

「若者たちは内的自我を空洞化させてきた」らしいのだけれど、じゃあそ
の「ポスト戦後の若者」の空洞部分、「戦後」の若者たちには「つまって

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