生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後 (岩波新書) の感想
参照データ
タイトル | 生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後 (岩波新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 小熊 英二 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784004315490 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » ノンフィクション |
購入者の感想
本書は、著者の父・謙二に対する聞き取り調査を基に、当時の政治、経済といった歴史的背景を補いつつ、戦前から現在にいたる「生きられた20世紀の歴史」を描くものである。
第1章「入営まで」/第2章「収容所へ」/第3章「シベリア」/第4章「民主運動」/第5章「流転生活」/第6章「結核療養所」/第7章「高度成長」/第8章「戦争の記憶」/第9章「戦後補償裁判」/「あとがき」
以下、簡単な批評。
1) 本書は、著者の父に対するインタビューを基に構成されたオーラル・ヒストリー研究の一つである。「あとがき」にもあるように、本書は以下の2点において先行研究とは異なる。第1に、戦前戦後を連続的に記述している点、第2に、単なる伝記的事実に終始せず、それを当時の社会経済的状況と照らし合わせつつ記述している点である。また、従来の研究が政治家や学者といった比較的社会的地位の高い人物を取り上げていたものが多いのに対し、本書の対象が「都市下層商業者」を対象にしている点も特筆すべき点である。
2) 戦争・捕虜体験の記述は、戦後補償裁判との係わりも含めて、本書の主要な部分を占めている。しかし、それだけに限らず本書は、戦前戦後の庶民の生活、家族関係などについて多くの興味深い記述を含んでいる。また、当時の社会・経済状況について補足的に説明している部分は、非常に分かりやすく勉強になる。
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第1章「入営まで」/第2章「収容所へ」/第3章「シベリア」/第4章「民主運動」/第5章「流転生活」/第6章「結核療養所」/第7章「高度成長」/第8章「戦争の記憶」/第9章「戦後補償裁判」/「あとがき」
以下、簡単な批評。
1) 本書は、著者の父に対するインタビューを基に構成されたオーラル・ヒストリー研究の一つである。「あとがき」にもあるように、本書は以下の2点において先行研究とは異なる。第1に、戦前戦後を連続的に記述している点、第2に、単なる伝記的事実に終始せず、それを当時の社会経済的状況と照らし合わせつつ記述している点である。また、従来の研究が政治家や学者といった比較的社会的地位の高い人物を取り上げていたものが多いのに対し、本書の対象が「都市下層商業者」を対象にしている点も特筆すべき点である。
2) 戦争・捕虜体験の記述は、戦後補償裁判との係わりも含めて、本書の主要な部分を占めている。しかし、それだけに限らず本書は、戦前戦後の庶民の生活、家族関係などについて多くの興味深い記述を含んでいる。また、当時の社会・経済状況について補足的に説明している部分は、非常に分かりやすく勉強になる。
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