増補版 街場の中国論 の感想

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参照データ

タイトル増補版 街場の中国論
発売日販売日未定
製作者内田樹
販売元ミシマ社
JANコード9784903908250
カテゴリ » ジャンル別 » 社会・政治 » 外交・国際関係

購入者の感想

 面白かったです。入院中に買ってきてもらった本だったので、消灯時間を気にしながらもぐいぐり引き込まれてしまいました。ここのところ、マスコミからシャワーのように流される扇動的で半ば嫉妬にまみれた論調の中国論に辟易していたからでしょうか。一味もふた味も違う筆致に何度も心地よく引っかかりながら読み進めることができました。
 また、この本は日本に追いつけ追い越そうとしている中国論であると同時に、「東アジアに『適度な不安定要素』があることが、アジア戦略上好ましい」という経済大国アメリカに牛耳られてきた日本論とも読めたので、日本理解の本としても、中国の人に読んでほしいと思いました。
 先例のない人口を要する国の難しい舵取りに、「劇薬」ともいうべき「反日」政策を掲げざるを得ない中国の人と、そしてそれと呼応して軽々に「反中国」を煽る日本の人たちとが「共生」できるために。
「かつて私たち日本人も・・・・失うべきではないものを捨て値で売り払ってしまった。それがどれほどかけがえのないものであったのかを私たちは半世紀かけてゆっくり悔いている。貧しさ、弱さ、卑屈さ、だらしのなさ・・・・そういうものは富や強さや傲慢や規律によって矯正すべき欠点ではない。そうではなくて、そのようなものを『込み』で、そのようなものと涼しく『共生』することのできるような手触りのやさしい共同体を立ち上げることのほうがずっとたいせつである」とは、胸に響く言葉でした。

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