武道館 の感想

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参照データ

タイトル武道館
発売日販売日未定
製作者朝井 リョウ
販売元文藝春秋
JANコード9784163902470
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » あ行の著者

購入者の感想

 現実世界では男性ファンと交際していた17歳アイドルに、東京地裁から賠償命令が下りました。上級審の判決がどうなるかわかりませんが、世の中の掟というのはそういうものです。だって、ファンはなけなしの高い金を払って、アイドルという幻想を買っているのですから。もちろんアイドルも人間ですが、商品でもあるわけで、それが恋愛によって損害を与えるなら責任を果たさないとなりません。

 本作はまだ売れないアイドルの私生活やティーンらしい目線が見られる中盤までは、朝井リョウの軽快な文体もあいまり面白く読め、購入しました。しかし、後半の恋愛部分は商品としての立場をまったく無視しており、ただアイドルの言い分を垂れ流しているだけに感じられ、読んでいるうちにひいていきました。

 たぶん、在学時から小説家になって賞をもらい、大手映画会社に入社してもすぐやめるカネも名声もあるひとには、アイドルになけなしのお金を払う人の気持ちよりも、自分の周りにいる芸能人目線にたった小説になるのでしょうね。「桐島~」でいけてない男子の生態をうまくすくいあげていたのに、ずいぶん変わってしまったというのが正直なところでした。ただ、ストーリーテリングはさすがなので、文句をつけながらも最後まで読み通せましたが。

桐島の時も思いましたが、目の付け所はいいのに料理がうまくない。
今回の作品についても、”アイドル”という偶像が担わされる不変的価値観と、一人の人間としての葛藤という、手垢のついたテーマ設定。
目新しいところといえば、これまでは新書や週刊誌でしか論じられていなかったことが文学で、一人称で描かれているという点だけ。
桐島も、学園カーストというテーマについてでしたが、これも映画のほうが出来がよかったし、カーストのテーマだけでいくなら『野ブタ。をプロデュース』の方が断然精度が高いと思いましたしね。
私自身がテーマについて手垢まみれだなぁと思うくらいの年になってしまったから刺激が足りなかったというところもあると思うので、実際にアイドル世代の学生さん達には一読の価値アリだとは思います。

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