サンスクリット原典現代語訳 法華経(上) の感想

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参照データ

タイトルサンスクリット原典現代語訳 法華経(上)
発売日販売日未定
製作者植木 雅俊
販売元岩波書店
JANコード9784000247870
カテゴリ人文・思想 » 宗教 » 仏教 » 仏教入門

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訳者はすでに『梵漢和対照・現代語訳法華経 上・下』(岩波書店、2008年刊)で、厳密な校注に基づいた現代語訳を刊行している。本書は、膨大な注釈をごく一部に留め(主に仏教用語のみ)、サンスクリット原典に基づいた、読みやすい現代語訳として改めて刊行したものである。厳密さと流麗さとを兼ね備えた日本語として法華経が蘇った。

「はしがき」によれば、訳者が心掛けたのは、正確を期す、意訳・深読みをしない、掛詞も訳出する、曖昧さを残さない、の四点である。本文を読むと、確かにこれらのことが実感できる出来栄えである。訳者は、中村元博士に師事した民間の仏教研究者である。40歳にしてサンスクリット語を学び、法華経の現代語訳という大業を成し遂げられた。「厳密に、しかし分かり易く、仏教を紹介する」という中村博士の学統を受け継がれ、サンスクリット原典からの法華経を提供されたことは、読者にとって実に有難い。

本書で現代に蘇った法華経をどう受け受け止めるは、人様々であろう。訳者自身が法華経をどう観ているかについては、植木雅俊著『思想としての法華経』(岩波書店、2012年刊)が参考になる。同書で著者は、法華経の成立と思想的な背景、シンボルとしての「白蓮華」に込められた意味、釈尊滅後の教団の保守化・教条化(差別思想)に対する平等主義としての法華経、人間への尽きせぬ信頼の思想、女性の地位回復、寛容の思想とセクト主義の克服などが、原典や先学の縦横な読解・引用・批判をもとに、分かり易く論じている。同書によれば、釈尊が本来説いたのは、「真の自己に目覚めること」に尽きるという。そこには、教えの理解度や性別、セクト(教派)などによる差別は一切なく、また神秘主義や超越者への信仰も一切ない。仏教が重要な思想となるというタゴールの予言は、国や組織、あるいは個人間の争いが激しさを増す一方の21世紀で、一層の切実さを持つ。

別のユニークな法華経の受け止め方として、中山正和著『「たとえ話」の効用―法華経の読み方』(産業能率大学出版部

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