高木仁三郎セレクション (岩波現代文庫) の感想

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参照データ

タイトル高木仁三郎セレクション (岩波現代文庫)
発売日販売日未定
製作者高木 仁三郎
販売元岩波書店
JANコード9784006032449
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

 いい本を出したなぁという感想。文学者を志した氏のあたたかい文章に氏の人となりを感じます。
 氏の市民科学者としての氏の活動は、多くの人と直接触れることで、人々にとって、いま生きていくうえで、いちばん関心をもつべきことは何なのかという、自らのうちに関心を掘り起こす能力を磨くことをたすけること。
 そして、社会の人々の多様化している感心に科学者は応えなければいけない。これまでの科学というのは、そういった社会の問題とは関係なしに、積みあげていった知識の蓄積を、どう先につなげていくかという動機が感じられる。
 それだけに、最低限論理的にものを考える流儀と、ある程度、数字の取り扱い方、読み方を知らないとどうにもならない。それから、人がやった仕事を、自分自身で批判的に解析する能力が身につけば理想。そのためには、知識量だけではなく経験も必要になってくると氏は語る。

 これだけ福島原発1号機に対して地震などの自然災害の影響を警告していたのに、警鐘していた氏の言葉も不問にされ、実際このような事故になってしまったことは残念でならない。
 氏は大飯原発活断層についても語っている。二つ目の惨事を引き起こさないよう希望する。

「原発を止めても電力に困らないくらいのことは、皆知っている。だけど一度手にした核技術はもう手放せない。パンドラの箱はあけられたのだから。」そのあきらめこそが核文明の暴走を促すのではないか。
 私はあきらめに対置して希望をこそ組織しよう。かの技術者は甘いというだろう、だが冷めたあきらめより甘い希望を選ぶしかあるまい。あくまで氏のことばはおもいやりに満ちている。
 本当に人間が人間らしく生きていけるっていうのはどういうことなのかを科学の設計に当たって考えなくちゃいけない。そういう時代がこれからやってくる。そうでなければ人間は決定的に間違ってしまうことになる。
 あらゆる人たちに読んで欲しい一冊である。

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