物理のためのベクトルとテンソル の感想

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参照データ

タイトル物理のためのベクトルとテンソル
発売日販売日未定
製作者ダニエル・フライシュ
販売元岩波書店
JANコード9784000059657
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 物理学 » 一般

購入者の感想

テンソルを全く知らない人がこれを読んでテンソルが理解出来る訳では全くありません。
この本は反変共変について凄く分かり易く書いている為、その辺の知識を確実にする為に読むにはお勧め出来ると思います。
(自分はこの後「テンソル解析」を読みました)

それと重要な事で、問題について答えを含めて誤植が多すぎます…。(第3刷の時点で)
幸いな事に原著者のホームページに非常に詳しく問題と答えが載っている為、絶対にホームページで問題を確認してください。
(アドレスは本に記載されてる為ここには書きません)
本文については誤植はほとんど無かったと思います。
それに先のホームページに載っている原著の誤植についても、購入時点で全部修正が反映されていました。

ただ1箇所最近原著の方で修正された、意味が全く逆になってる部分がそのままでした。(第3刷の時点で)
具体的には152ページの2箇所の直接変換行列が、最初の直接変換行列→変換行列、2個目→逆変換行列です。
他にも修正が入ってるかも知れないので、それについてもホームページで先に確認したほうが良いと思われます。
(原著の修正を日本語版に置き換えるのは難しいかもしれないですが…自分は152ページのせいで原著も買ってしまいました…)

長くなりましたが、問題の誤植が多かったので星一つ減点して4つと評価します。

私もこれまでテンソルの教科書に何度か挑戦する度に、最初の共変ベクトルと反変ベクトルの説明で諦めてきた。共変と反変の定義の必然性が理解出来ないからだ。

本書は、共変と反変の歴史的誕生による誤解、実例体験に基づく共変と反変の意義を丁寧に説明して、次へ踏み出すことを可能にしてくれた。その説明の一端を下記する。

「あなたがベクトルからテンソルの勉強に進もうとすると、必ず共変ベクトルの成分と反変ベクトルの成分に関する議論に出会います。その際、共変成分は基底ベクトル全く同じように変換し、反変成分は基底ベクトルとは逆に(正反対に)変換するという趣旨の記述を見かけるかも知れません。この章(第4章)の後半で分かるように、この記述は誤りではないのですが、大きな落とし穴があります。ふつう、基底ベクトルの変換とは、元の座標系(回転していない座標)の基底ベクトルを新しい座標系(回転した座標系)の基底ベクトルに変換する時の表現です。一方、ベクトル成分の変換とは、同じベクトルを新旧の異なる座標軸で見た時のベクトル成分の変化を表現したものです。」(p.118)

「(非直交座標系では、ベクトルの成分表示に座標軸に平行な光線を用いた正射影と、座標軸に垂直な光線を用いた正射影の二種類が存在する。)この二種類の正射影によって作られる成分が、座標系の間でどのように変換されるかというと、『座標軸に垂直な正射影成分』は直接変換行列で座標間を変換し、『座標軸に平行な正射影成分』は逆変換行列で座標間を変換します。このような振る舞いのために、『垂直な正射影成分』はベクトルの共変成分、『平行な正射影成分』はベクトルの反変成分と呼ばれるようになった。
・・・中略・・・ (反変な量はベクトルの成分ですが、)なぜ共変な量も成分と呼ぶのか、そしてもっと重要な、なぜ共変成分と反変成分の両方に意味があるのかを理解するには、まず双対基底ベクトルの概念〔注:これは非直交座標系の基底ベクトルと直交する基底ベクトルを有する新しい座標系の概念のことである。〕を学ばなければなりません。」(p.126)

テンソルが苦手な学生が多いと聞くが、私もその一人である。
事実研究者となった今でも、テンソルアレルギーがあるのだが、この本はかなりサクサク読めるだろう。
実はまだ購入したばかりなのだが、とにかく分かり易い。
数学の本であるにも拘らず、物理的現象を絡めながら構成されており、目からウロコになると思う。
ベクトル解析の所は読飛ばしてしまっているのだが、全体的に数学をイメージできる様、工夫された構成となっており、副読本としての威力は抜群。
ベクトル、テンソル解析の応用も無駄無くコンパクトに書かれていて、短時間で物理的イメージを掴める事だろう。
急いでテンソルを学びたい人、ベクトル解析を学びたい人には、素晴らしい本と言える。

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岩波書店から発売されたダニエル・フライシュの物理のためのベクトルとテンソル(JAN:9784000059657)の感想と評価
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