アメリカン・スナイパー ブルーレイ&DVDセット (初回限定生産/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray] の感想

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参照データ

タイトルアメリカン・スナイパー ブルーレイ&DVDセット (初回限定生産/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
発売日2015-07-08
監督クリント・イーストウッド
出演ブラッドリー・クーパー
販売元ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
JANコード4548967192674
カテゴリDVD » ジャンル別 » 外国映画 » ドラマ

購入者の感想

流石クリント・イーストウッド御大。

ブラッドリー・クーパーの演技がとにかく素晴らしい。
日本人的感覚からすると理解できない言動を繰り返す妻のシエナミラーもいい役をもらったと思う。
正直さを戦地に赴いている夫に対して求め過ぎると苦しんでいる人間をよりいっそう苦しめることになる。

ほんの少しの音にすら過敏な反応をせざるを得ない戦地と、誰もイラクの現状など気にしないアメリカ国内。
ランボーの状態を一人で4往復もしている彼の精神状態を、不穏な映像や揺れ、そして音響でうまく表現されている。

原作を読んだ段階からその武勇伝そのものを全く信じていないイーストウッドの晴眼。
明らかに意識的に原作よりは真実に近いスタンスと脚色によってj極めて素晴らしい中立的な作品になっている。

テキサスのゴリゴリ共和党員の父親に育てられ、その一連の生い立ちがすべてに影響を及ぼしている。
ブラッドリークーパーの顔が迷いや弱さ危さを表現するには最高の顔立ちをしているのも良かった。
父親に叩き込まれた男感を表現できる実際の射撃の相手は女と子供である・・・
息を止め、射撃した後、判断に迷いやめる時、の息を吐き出すシーンの連続。
観客側の心拍数や血圧はずっと上がりっぱなしだ。

アメリカがやったことをそのままひとつひとつの戦闘に置き換えてもいいくらい
「いったいこの戦いは何のために行っているのか」
という迷いやスッキリしない感が残るようなシークエンスになっている。

最後、ライバルスナイパーへのスコープ映像の素晴らしさ・・・
わざと観客側には何も見せないんですね。
ここで、主役の心情など「誰にも理解できない」ということがハッキリ提示されるこのシークエンスは素晴らしかった。

あえて、エンドロールの無音。
凄すぎる演出だろう。
傑作だと思う。

明らかに淡白で割り切れない世界観をはっきりと表現出来るイーストウッドの凄さがハッキリ感じることが出来る名作。

類まれな強い愛国心とセンスを持つ実在の米シールズ所属の狙撃手を題材にした物語です。
ただし、大筋では忠実では有りますが一部に存在しない映画オリジナルの戦いが収録されているそうです。
その戦いというのが物語後半のテロリスト側の凄腕のスナイパーとの狙撃戦で実際には彼との直接対決は無かったそうです。
なぜ監督は実在しない戦いを収録したのか? 映画としての盛り上がりを重視したのか?
それは勿論あるかもしれませんが一番の理由はクリス・カイルというレジェンドが到達した彼にしか分からない世界
常人にはとても理解できない世界を表現するために必要だったのだと思いました。
その証拠として彼が敵のスナイパーを発見して「あそこに居る!」と言っているのに
スコープ内の映像を画面を通して見てる視聴者には全く敵のスナイパーが見えません、これは彼にしか分からない世界を端的に表現しています。
要するに彼の心情や彼の見ている世界がもはや常人は勿論最愛の奥さんですら理解出来ない付いていけない次元に有る事
彼の孤独を同格の世界を持つであろう敵スナイパーの対比によって見せているのです。

彼は米兵を一人でも生きて家族の元へ帰したいという一心で結果多くの命を奪います。
彼自身はそれを絶対的な事として強く信じていますが、それでも命を奪う度に彼の中の何かが確実に壊れていくのが見ている人には分かる
ちょっとした物音にも過敏に反応して背後の車に異常な警戒を示して奥さんの話にも終始上の空になっていく様が丁重に描かれている
本来彼は恋人に浮気されても間男を軽く殴って追い出す程度に自制が効いていた人です。
それが戦場ではとても冷静なのに国に戻ると情緒不安定になって怒りっぽく暴力的になる、彼の日常が逆転し戦争中毒になっていく
レジェンドという周囲の大きすぎる期待が彼を戦場に何度も呼び戻す事になるのです。

監督は彼を通して経験した人間にしか分からない世界を伝えようとしていると感じました。
伝説の男ですらこれほどの苦悩を味わい、多くの仲間を失い、例え生き残っても戦争の外で戦争によって命を失う事になるという悲劇

いろんなことを考えた。
最後に主人公が退役兵に殺されるシーンのあと、実際の映像で伝説のスナイパーが殺されたということで沿道に星条旗と人々が群がるシーンはなんだか気持ち悪かった。これが日本の日の丸だったら戦前を思わせるようなシーンだった。
なので見終わったあとにいろいろとこれは愛国的映画とも読める節があるのかとも思えど、それは違うなと思った。なぜならPTSDや負傷した退役軍人も描かれていたし、妻とのやりとりでも戦争の負の部分や人間性を失うような心理状態に陥ることもちゃんと描かれていた。それなのでいわゆる反戦・厭戦的な映画というよりかは、イラクでの戦争とそれに付随する様々な現実を”ゴロッと”そのまま投げ出されたような映画であるとぼくは全体を総合的に観て感じた。それと大岡昇平の「野火」と田村泰次郎「蝗」という戦争文学の名作がなぜか頭に浮かんだ。
長々としてもしょうがないので「野火」だけこの映画に触発されて、私に思い浮かんだことを語ろう。「野火」というのは遊兵になった主人公が飢えにより死んだ兵の人肉を食うか食わないかというテーマが一番クローズアップされる小説であるが、主人公が兵の野戦病院から食糧不足のため追い出され遊兵となりいわば、組織の中の〈兵〉であることからは自由になりえた。(それでも飢えという人間の極限状態に放り出されたのは自由ではないが)しかし、作家の彦坂諦が鋭く指摘するように突然現れたフィリピンの女(もちろん民間人)がさっと草むらから現れた瞬間に、銃を持っていた田村は瞬間的に無垢なフィリピン女を撃ち殺してしまう。そのとき全てはこの銃にかかっていたのだと銃を川に投げ捨てる。いったん〈兵〉にならされた者がそこから自由になることがいかほどに困難か、それはアメリカンスナイパーでも〈兵〉クリスが4回も戦場に征くということ、日常に帰りフラッシュバックや犬を暴力的に打ちのめそうとなってしまうことに現れている。いったん〈兵〉とならされたものは〈兵〉として身体化されたように瞬間的に反応してしまう。(野火の田村二等兵が〈兵〉として身体化され、無垢なフィリピン女を瞬間的に撃ち殺してしまったように。)

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