神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者上橋 菜穂子
販売元新潮社
JANコード9784101302768
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » SF・ホラー・ファンタジー

購入者の感想

 ロタ王国ならびに新ヨゴ皇国の西部・国境地域を舞台に、女用心棒バルサが、恐ろしき神<タルハマヤ>を呼び寄せる力を持つ少女アスラを追っ手から守るというのが、本書のメイン・ストーリー。

 本作品について、作者は次のように語っています。
「アスラという少女をバルサが連れて逃げるイメージを追いかけていくうちに、物語の根がロタ王国の創世にまで広がっていき、あれよあれよという間に、枝葉を広げて、とても一冊ではおさまりきらない大樹へと育ってしまったのです」と。話がひとり歩きをはじめ、ぐんぐんふくらんでいくというのは、きっとこういうことを言うのでしょうね。「ゲド戦記」シリーズといった上質の海外ファンタジーを読んでいる気分になりました。ゆるやかに広がっていく大河のような物語。素晴らしい。

 <帰還編>へとつづく本書の中で最も印象に残ったのは、恐ろしき神<タルハマヤ>をめぐる伝説がロタ王国の氏族間で異なっている、というところ。ある氏族の伝説で「恐怖の時代を招いた恐るべき人」と言い伝えられてきた人物が、別の伝説では「善政を敷いた神聖な方」となっている。祖先を美化するためか、それぞれに都合のいい伝説があり、そこから根深い対立と憎しみが生まれている。作品の底に流れるそうしたモチーフが巧みに織り込まれ、作品に深みを与えているのが見事です。

 異文化・異民族の違いを具体的に描いているところも面白い。「ロタ人は、相手の手首を握り合って挨拶する」「タルの民は、額と鼻と口を三本の指でとん、とんと撫でてから、床に頭をつけて、心からの感謝を示す」といった描写が、物語を一層、彫りの深いものにしている印象を受けました。

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新潮社から発売された上橋 菜穂子の神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫)(JAN:9784101302768)の感想と評価
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