ユリイカ 2015年4月臨時増刊号 総特集◎2・5次元 -2次元から立ちあがる新たなエンターテインメント の感想

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参照データ

タイトルユリイカ 2015年4月臨時増刊号 総特集◎2・5次元 -2次元から立ちあがる新たなエンターテインメント
発売日2015-03-23
製作者鈴木拡樹
販売元青土社
JANコード9784791702862
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 雑誌・逐次刊行物

購入者の感想

コミックが(二次元の)実写映画化される例は数多い(アメコミではまして定番)なかで、近年、なぜ、三次元の「舞台化」なのか?
 表紙から連想される「テニミュ」に代表されるミュージカル作品だけでなく、多くの論者が二次元から三次元への架橋の意味を探っています。
 「弱虫ペダル」などのキャラクター論、役者論、インタビューなども充実していますが(残念ながら自分が舞台をじかに観ていないので、どのくらいインパクトがあるかは読者しだい)、むしろ興味深かったのは、周辺文化からの照らし出しにも配慮した編集であることです。

 「テニミュ」vs「ベルばら」の対比で、宝塚という独特の舞台機構をあらわにしたインタビュー(小柳奈穂子)と論考(鈴木国男)、また「隈取りのようなもの」(矢内賢二)では、役者の個別の身体性の魅力、歌舞伎やミュージカルの持つ記号性様式性が、コミックの三次元への翻訳に重要な意味を持つという指摘、また、ヴォーカロイドのライブを例にしながら、完全に自由な二次元に、身体性の制約を加えることで三次元性、すなわち「魂実装済み」を獲得する論(sezu)など、パフォーマンス文化全体に視野を広げ、新たな角度から位置づけてくれます。
 また拡張現実、複合現実に慣れしたしんだわれわれが、特定の劇場空間の中で制限の多い肉体パフォーマンスを楽しむことの意味(須川亜紀子)などについても考えさせられました。舞台を観て感動したあと,うちに帰って役者のブログをチェック、同好のひとどうしのチャットなど、必ずリアルを補完する二次元的な電子情報に接続することも、体験の重要な一部であること。
 スポーツ観戦も含めパフォーマンス全体に興味のある人に、多角的な視座を与えてくれ、読み応えのある一冊です。
 
 

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