消失(下) 金融腐蝕列島・完結編 の感想

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タイトル消失(下) 金融腐蝕列島・完結編
発売日2013-08-13
製作者高杉 良
販売元KADOKAWA / 角川書店
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購入者の感想

長く続いた「金融腐蝕列島」シリーズである。舞台は旧三和銀行→旧UFJ銀行である。
私もかつては高杉良作品は好きであったが、徐々に筆が落ちてきている。
それもそのはずでもともと「東京スポーツ」に連載されていたためか、人事抗争、セックスなど経済小説から離れたシーンが多い。

本来であれば、この登場人物は旧三和(UFJ)の誰かと特定できるくらいリアリティのある設定なのだが、いかんせん50代の大手銀行役員が×1(しかも妻が有責の離婚)で元部下で年下の才色兼備の美女と再婚すると言う「意味妄想的要素」が入り濃んでしまっている。

なぜ、JFGことUFJ銀行だけが4メガバンクの中で消滅したのか?それはガバナンスに問題があったからである。それは大手町にある役員室だけで起きていたことではない。全国の支店・法人営業部で起きていた壮絶な内紛、さらに形骸化していた持ち株会社の仕組み、UFJ信託の徹底的な無視、旧三和OBが内紛に負けて天下った先の大口融資先での不良債権の増大とコントロール不能など旧三和銀行時代からの負の遺伝子が全身に周りに回ったからである。金融庁がターゲットにしたことは事実であるが、4メガバンクの中で最もガバナンスが不在だったのは紛れもなくUFJで経営不在であった。いわば自滅したのである。

最近の高杉作品は善と悪とを二分化しすぎる。おそらく読者層も高年齢化しているだろう。さらにあまりにも小泉-竹中改革路線を否定しすぎる。もっと言えば、長銀破綻の時からそうであったように極端な外資嫌い、極端なみずほ贔屓など客観性・冷静さがなくなってきている。登場人物の言動も一昔前の雰囲気が漂っている。

もう高杉良の時代ではないのかもしれない。
と上編で書いたレビューが確信に変わった中編であり、そうだ「終わったのだ」という下編である。

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