佐藤優の沖縄評論 (光文社知恵の森文庫) の感想

ある者Aから見て正義である行為が、別の者Bから見ると悪の行為である。国際問題に絡むせめぎあいでは、よくある話だ。国際問題のプレーヤーには、常に複眼的思考が求められる。しかし、現在の日本には、国際問題を解決してゆくうえで必須なこの複眼的思考が決定的に欠けている。本書を読むと、「同一の出来事を沖縄から見るとどうであるか」が率直にわかる。と同時に、いわゆる「内地」の価値観一本で生きてきた読者にとっては、自分の価値観以外の視点から自らを突き放して眺め考えるための良い訓練となり、それによって視野や世界が広がるだろう。0