ロシア・アヴァンギャルド (岩波新書) の感想

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参照データ

タイトルロシア・アヴァンギャルド (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者亀山 郁夫
販売元岩波書店
JANコード9784004304500
カテゴリ芸術一般 » 美術史 » 西洋美術史 » ロシアアヴァンギャルド・ドイツ表現主義

購入者の感想

 1949年生まれのロシア文化論研究者がロシア・アヴァンギャルド運動の軌跡をできるだけ幅広く概観することを試みて、1996年に刊行した新書本。この「前衛」運動は、あくまでも後世の人々により規定された一個の総称であり、未来主義、スプレマティズム、構成主義等がそのより実質的な下位概念となる。また著者は、それを政治革命と密接に関連づける立場をとり、ソビエト体制下での代表的な芸術家(詩・演劇・絵画・建築・音楽・映画等)の動向を叙述の中心に据える。したがって、本書の対象時期は1910〜20年代=ロシア革命期からスターリン体制確立までが中心である。いささか難解な本であるが、本書を読む限り、この運動は当時の工業化の進展を背景とした近代芸術批判であり、新たな芸術を創造するための拠点の模索であり、「原始」(=未分化な混沌たるエネルギーの源泉)への回帰志向と当時の技術発展への適応とに特徴づけられるように感じられる。また、著者はアヴァンギャルドの挫折の原因を共産主義による政治的な抑圧にではなく、大衆から遊離した彼らの芸術に内在する限界に帰している。本書の主題からは、共産主義の理想と現実のみならず、芸術を通して現代社会を考えるための手がかりも得られるように感じられるが、本書自体は事実が列挙されている感が強く、もう少し分かりやすい理論的な整理が欲しい。

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岩波書店から発売された亀山 郁夫のロシア・アヴァンギャルド (岩波新書)(JAN:9784004304500)の感想と評価
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