Diane Arbus: An Aperture Monograph の感想
参照データ
タイトル | Diane Arbus: An Aperture Monograph |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | Diane Arbus |
販売元 | Aperture |
JANコード | 9780912334400 |
カテゴリ | Formats » Accessories » Journals » General |
購入者の感想
生前は写真集が発売されていなかったDiane Arbus。1971年7月に自殺し、1972年にMOMAが回顧展をやり、その後3年かけて北米を展覧会が巡回して彼女は伝説化していく。この写真集は死後、Richard Avendon等の尽力で1971年に発刊されたオリジナルの復刻版である。冒頭に、彼女の大学講義やインタビューからの抜粋が載っているが、独特の被写体選定や自己との関係性について、本人が直に語っています。
被写体のグロテスクさに惹かれながら、一方で嫌悪感を覚えている自分。そして、写真を撮るためにその嫌悪感を隠して、フレンドリーに被写体と接してみせる自分。そういう「撮る者」が逃れられない嫌らしさに非常に自覚的・自己嫌悪的だった彼女が、まさしく自分の生命を削るようにして生み出した鬼気迫る作品集です。
フリークスや変態のシリーズ以外にも、シンデレラ城やハリウッドのハリボテの建物を写した風景写真からも、虚構の持つグロテスクな力がビンビン伝わってきます。虚構美を写す仕事の最たるものであるファッション写真家から真逆の方向に転向したという伝記的事実もドラマチックですが、彼女にとって見えた「世界」が、どれだけグロテスクで悲しいものだったのかは、やはり伝記作家の文章じゃなく、彼女の遺した写真が一番能弁に伝えてくれますね。
被写体のグロテスクさに惹かれながら、一方で嫌悪感を覚えている自分。そして、写真を撮るためにその嫌悪感を隠して、フレンドリーに被写体と接してみせる自分。そういう「撮る者」が逃れられない嫌らしさに非常に自覚的・自己嫌悪的だった彼女が、まさしく自分の生命を削るようにして生み出した鬼気迫る作品集です。
フリークスや変態のシリーズ以外にも、シンデレラ城やハリウッドのハリボテの建物を写した風景写真からも、虚構の持つグロテスクな力がビンビン伝わってきます。虚構美を写す仕事の最たるものであるファッション写真家から真逆の方向に転向したという伝記的事実もドラマチックですが、彼女にとって見えた「世界」が、どれだけグロテスクで悲しいものだったのかは、やはり伝記作家の文章じゃなく、彼女の遺した写真が一番能弁に伝えてくれますね。