記号論1 (講談社学術文庫) の感想

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参照データ

タイトル記号論1 (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者ウンベルト・エーコ
販売元講談社
JANコード9784062921947
カテゴリ » ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想

購入者の感想

 訳者あとがきによると、記号論を学びたい人には自分の専門を修めてから接したらよいと勧めているそうです。これ以上ないほど読むのに骨が折れますが、言語学系の専門家に限らず人生の中盤にこそ多くを学ぶことが出来る大変重要な著作と考えます。

 「知る」ということをもっと深く知る・・・はたして「理解する」ということはどういうことなのか。例えば「鯨」を知っているというのはどういうことなのか?記号をその様に解読させる何らかの圧力があるのか?
 意味作用を担う「意義素」を基本単位とした百科事典的な構造(KFモデル、改訂モデル、モデルQ)が検証されます。

 そして「分かる」ことに対して「分からない」ことを分からないと確定することの方がはるかに難しいことが明らかとなります。
 「分からない」ことは未だ「分かる」ことに向かう道半ばなのか、あるいは命題として「偽」と認定すべきなのか・・・意味作用の迷子は百科事典の中を彷徨っていたのでした。

 文化・建築・環境についても豊かな示唆を得ることが出来ます。
 例えばレンガ、階段、広場など・・・文化的に一つにまとめられた表現単位として、マクロな規模の記号論が語られます。「知覚によって行為を提供される」という「アフォーダンス」(ギブソン「生態学的視覚論」)についての重要な示唆もあります。

 芸術や詩学についても明確な定義が提示されます。情報のエントロピーから見た美しき多義性、意味の第三世界・・・見えているものを描くこと、あるいは知っているものを描くこと(写実とキュビズム)

 そして最後に語られるのは、意味作用から照射される「主体」や「知性」の正体です。

 原著は1976年。情報通信工学・認知科学・人工知能においても、本書の意味作用・コミュニケーションについての論考は全く色褪せることはないと思います。

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