チェーホフの言葉 (人生の知恵) の感想

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参照データ

タイトルチェーホフの言葉 (人生の知恵)
発売日販売日未定
販売元彌生書房
JANコード9784841507317
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 外国のエッセー・随筆 » ロシア

購入者の感想

 『かもめ』『桜の園』等の戯曲・短編作品で有名な1860年生まれのロシアの作家、アントン・チェーホフの名言集です。
 以前、『桜の園』を読んだ後この作家に対する興味が深まり、更にチェーホフについて調べている時に、何かの文章を読んで非常に感動し、「私この人好きだ!!」と古本で全集を購入しました。しかし、自分が一体チェーホフの何に感動したのだったかを、積ん読している内に失念(恥)。全集を買う位なので、作風に加え作家の人間性にも間違いないものと感じたんだろうなあとは思っていたんですが、今回本書を読み始めて、何故かつて自分が全集にまで手を出したのかがようやく分かりました。
 チェーホフ、めっちゃいい人です。
 久々にこういうロシア的な優しさを感じました。自然豊かで寒冷な土地の人らしい、素朴で温かく、物静かな優しさ。ロシア人作家は全体に、どんなに頭のいい作家でも鋭さや洗練よりも、大らかさや情の印象が強いのですが、チェーホフはそんなロシア作家の中でも屈指の温もりある人柄だと思います。おまけに医者でもあったのです。
 貧しい農民出身で、しかも、5歳の頃から父親に殴られて育ったというのに、グレもせずによくまあこんなに心優しく頭脳明晰な、立派な人間になったものです。涙が出ます。偉すぎる。生まれ付いての才能があったとは言っても、己の天分を見事に開花させたチェーホフの偉大で誠実な精神と、強靭な意志をひしひしと感じます。
 本書は、そんなチェーホフの人柄が滲み出てくる、小説や手帳、手紙、知人への言葉、またチェーホフについての評論や回想記で構成されています。

 人柄がよく出ている手紙の文章を、一つだけ引用させていただきます。これは、1890年に中部ロシアを襲った大不作の際に、チェーホフが行った申し出です。

「もしルーブル貨や50カペイカ銀貨があつまったなら、ただちにそちらにお送りいたします。ところで、どうかぼくに指示をあたえてください。ぼくにとって、たとえどのようなことでも、尽くせることがありましたなら、ほんとうにしあわせです。お信じください。と申しますのは、これまで飢餓者たちや、救援活動をなさっておられる方々にたいし、ぼくは何もしていないのですから。」

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