桃―もうひとつのツ、イ、ラ、ク (角川文庫) の感想

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参照データ

タイトル桃―もうひとつのツ、イ、ラ、ク (角川文庫)
発売日販売日未定
製作者姫野 カオルコ
販売元角川書店
JANコード9784041835159
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » は行の著者

購入者の感想

「ツ、イ、ラ、ク」の主要キャラクターや、その友達など、関係者たちの話が
納められたスピンオフ短編集的な作品集。
表題作「桃」は、森本準子ちゃんが好きな人と抱き合っていた14才の自分を
32才になってから振り返ったお話。官能的なセックスの描写も美しいが、
ひとりの男を14歳で全身で愛していた準子の心情(「ツ、イ、ラ、ク」の中の
14才の準子の恋愛感情らしきものの描写って実はそんなに無かった気がする)も
あますところなく描かれていてとても美しい1編。

準子と仲がよかった野球部の男の子の親友が、国語の女の先生を好きだった話も
中学生が美人の先生に憧れる、というだけの話なのだが、大人になった彼が
卒業アルバムを見てそれを思い出す、という構成が秀逸だし、過去の恋を
「幼かったな」とありきたりに振り返るのではなく、そのときの心の痛みや
傷ついた気持ちを大切にしたまま大人になって、今は妻や家族を大事にしている、
という優しい時間の流れ方が好きだ。

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