マリー・アントワネット 上 (角川文庫) の感想

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参照データ

タイトルマリー・アントワネット 上 (角川文庫)
発売日販売日未定
製作者シュテファン ツヴァイク
販売元角川書店
JANコード9784042082071
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » ドイツ文学

購入者の感想

悲劇の王妃やら、世紀の悪女やらやらたと喧伝されるマリー・アントワネット。

私たち後世の人間が過去の人物を考えるとき、必ずフィルターがかかる。

マリーの場合は、王党派であり、改革派であり、作家であり、詩人であったり・・・そのフィルターの多さ、色の濃さは世界でも有数のものだろう。

この作品はそのフィルターが殆ど取り除かれていて、神様から美貌と地位をいただいたわがままな女の子が等身大で動き、

逆らえない歴史の波に飲み込まれてゆく姿がありありと描き出されている。

そこには「よい」「わるい」は存在しない。

歴史の必然によって翻弄される少女の姿にハラハラしながら、「はじめに」にあるように『その運命と同じように偉大になる』まで見守ることが出来る。

私たちは彼女の結末を知っている。彼女に対してのそれぞれの思いがあるだろう。

だが、この本を読むことによってその気持ちをリセットし、本当の、等身大の「マリー・アントワネット」と向き合うことが出来る。

ツヴァイクの訳は以前、岩波で出ていたと思う。私も持っていたが(他の方のレヴューにあるよう)言い回しが古風で少し読みづらい。

それを今回、中野京子さんが新訳をされ、とても読みやすくなっている。すんなりとツヴァイクの世界に入り込むことが出来るのではないか?

余談↓

あわせて、私は「マリー・アントワネットとマリア・テレジア秘密の往復書簡」を読んだ。

水面下でこのようなやり取りがあってこうなったのか・・・と思うと面白い。非凡なテレジアと凡人マリーの意識の差が・・・

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