ポーツマスの旗 (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | ポーツマスの旗 (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 吉村 昭 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101117140 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » や・ら・わ行の著者 |
購入者の感想
戦争を始めるのはいともたやすい。しかし、終わらせるのは至難の業である。敵味方ともに頭に血が昇って熱狂し、打算に固執する。終わらせたとしても、遺恨が残らず、復讐を起こさせないようにしたい。それが失敗して泥沼になった例は多い。
本書は近代日本が経験した日露戦争というハイライトの講和会議を淡々と、しかし力強くえがいたものである。小村寿太郎は、労多くして報いの少ないが、しなければならない仕事と認識しつつ、ポーツマスに赴く。相手は老獪なロシアの大物ウィッテ。アメリカのルーズベルトは同情的であるが、むしろ日本政府や日本国民が厄介である。また、ちらつく諸外国のうごめく影・・・はたして彼は無事講和条約締結にこぎつけることができるのか。
いつもながらの見てきたような、綿密な調査にもとづく吉村節は、その会議の様子をスリリングに描き出す。
本書は近代日本が経験した日露戦争というハイライトの講和会議を淡々と、しかし力強くえがいたものである。小村寿太郎は、労多くして報いの少ないが、しなければならない仕事と認識しつつ、ポーツマスに赴く。相手は老獪なロシアの大物ウィッテ。アメリカのルーズベルトは同情的であるが、むしろ日本政府や日本国民が厄介である。また、ちらつく諸外国のうごめく影・・・はたして彼は無事講和条約締結にこぎつけることができるのか。
いつもながらの見てきたような、綿密な調査にもとづく吉村節は、その会議の様子をスリリングに描き出す。