福島原発、裁かれないでいいのか (朝日新書) の感想
参照データ
タイトル | 福島原発、裁かれないでいいのか (朝日新書) |
発売日 | 2015-02-13 |
製作者 | 古川元晴 |
販売元 | 朝日新聞出版 |
JANコード | 9784022736000 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 法律 » 司法・裁判 |
購入者の感想
福島原発事故では、今でも約10万人が避難生活を余儀なくされており「あれだけの大事故でなぜ誰も責任を問われないのか」不思議に思う市民は多いと思います。それを真正面から問うたのがこの本です。
著者の経歴を見て、法律論の本といえば一般人には難しいという先入観がありました。しかし、この本は「法律こそ一般市民の感覚と同じでなければならない」という思想で貫かれており、非常に読みやすい本でした。福島原発事故については、国会事故調査報告書などが「人災」と指摘しており「人災なのに裁けないのはおかしい」というのが法学者である著者の出発点であり、一般市民の感覚と共有するものがあります。
また「法律で責任を問う」というと、個人を罰することが目的のように聞こえてしまい、嫌悪感を感じる人もいるかもしれません。しかし、原発再稼動が始まりつつある今「更なる未来の事故を防ぐことが司法の目標である」という著者の主張こそ、日本人が目指すべき目標であると感じました。
なお、本書の「はじめに」で、著者らが主張する「危惧感説」という言葉が出てきますが、後半を読めば分かるように、単なる心配や不安感に基づく判断ではなく、科学的・合理的に「安全ではない」という判断を一般人のレベルで判断することを指しているようです。従って「津波襲来の危険性が、2011年以前に指摘されていた」という事実を、政府事故調査報告書などに基づき、指摘しています。この事実に原発関係者が対応していれば、福島原発事故は防げたはずでした。検察審査会は一般市民で構成されており、上記を述べた議決も詳しく紹介していますが、一般市民の感覚は素晴らしいものがあると感じました。
福島原発事故は4年後の今も終わっていません。今後の原発をどう考えるかの判断材料ともなる本書の一読をお勧めします。
著者の経歴を見て、法律論の本といえば一般人には難しいという先入観がありました。しかし、この本は「法律こそ一般市民の感覚と同じでなければならない」という思想で貫かれており、非常に読みやすい本でした。福島原発事故については、国会事故調査報告書などが「人災」と指摘しており「人災なのに裁けないのはおかしい」というのが法学者である著者の出発点であり、一般市民の感覚と共有するものがあります。
また「法律で責任を問う」というと、個人を罰することが目的のように聞こえてしまい、嫌悪感を感じる人もいるかもしれません。しかし、原発再稼動が始まりつつある今「更なる未来の事故を防ぐことが司法の目標である」という著者の主張こそ、日本人が目指すべき目標であると感じました。
なお、本書の「はじめに」で、著者らが主張する「危惧感説」という言葉が出てきますが、後半を読めば分かるように、単なる心配や不安感に基づく判断ではなく、科学的・合理的に「安全ではない」という判断を一般人のレベルで判断することを指しているようです。従って「津波襲来の危険性が、2011年以前に指摘されていた」という事実を、政府事故調査報告書などに基づき、指摘しています。この事実に原発関係者が対応していれば、福島原発事故は防げたはずでした。検察審査会は一般市民で構成されており、上記を述べた議決も詳しく紹介していますが、一般市民の感覚は素晴らしいものがあると感じました。
福島原発事故は4年後の今も終わっていません。今後の原発をどう考えるかの判断材料ともなる本書の一読をお勧めします。