ハードワーク~低賃金で働くということ の感想

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参照データ

タイトルハードワーク~低賃金で働くということ
発売日販売日未定
製作者ポリー・トインビー
販売元東洋経済新報社
JANコード9784492222645
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

 英国の女性新聞記者が、最低賃金で働く者の生活を体験した、一種の「潜入取材」記録です。

 著者が確保した住まいは、不潔で悪臭に満ちた低所得者向けの団地の一室でした。ベッドや最低限の家具を購入し終わると、限度いっぱいまで借り出した低所得者向けの貸付金はほとんど底をついてしまいます。

 仕事が決まると同時に生活保護は打ち切られ、著者は「最初の給料日までどう暮らしたらよいのだ」と、憤りに駆られました。

 実際に著者が経験した仕事は、荷物の運搬係、給食のおばさん、託児所、飛び込み電話セールス、早朝清掃、ケーキ製造所、老人ホームの介護補助など。

 著者は職探し段階から担当者の気まぐれに振り回されます。やっと採用されても、待っているのは過酷な肉体労働と仕事のじゃまをする規則の数々。たとえば、老人ホームのトイレで受け持ちの老人が倒れたとしても、老人に手を貸してはいけない。定められた器具を使わなくてはいけない。もし何か事故があっても雇用主は責任を取りません。

 あらゆる不条理を経験した著者が政治に向ける言葉は激烈です。

  金持ちはさらに裕福になり、貧しい者は所得と資産の両面で取り残され

  る時代が始まったのだ。

  ほかのすべての人たちが生きている消費社会への「立ち入り禁止」。

  過酷なアルパトヘイトだ。

  貧しい人たちが飢えていないのなら、それでいいじゃないか、といえる

  だろうか。いえない、と私は思う。

 経験と理論の両面から訴える社会正義は説得力があります。

 少しだけアメリカの現状を書いていますが、英国よりはるかに悪いのが実態です。社会保障が整っていないため、死にたくなければ働しかありません。当然、就職率は高くなりますが、これはいわば強制労働のようなものだから、賃金が低く抑えられます。

 日本が悪い意味でアメリカの後を追わないよう願うばかりです。

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