モラルの起源―道徳、良心、利他行動はどのように進化したのか の感想

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参照データ

タイトルモラルの起源―道徳、良心、利他行動はどのように進化したのか
発売日販売日未定
製作者クリストファー ボーム
販売元白揚社
JANコード9784826901765
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 心理学 » 心理学入門

購入者の感想

 本書の主題は、そのサブタイトルが物語っている。すなわち、「道徳、良心、利他行動はどのように進化したのか」。近年議論も盛んなこの問題に、本書は多角的な視点から挑んでいる。
 著者が紡ぐ進化のストーリーは、大きくふたつの段階にわけることができる。ひとつは、各人において、社会のルールが内面化されて、良心が生まれてくる段階。もうひとつは、集団のなかで寛大さが奨励され、利他行動が広まる段階である。そして著者によれば、ふたつの段階それぞれには、その段階特有の「社会選択(social selection)」が関わっている。つまり、著者は本書で、道徳の進化に関する社会選択説を展開しているのである。
 ところで、協力行動や利他行動の進化を論じる際には、フリーライダー(ただ乗り)の問題を避けて通ることはできない。というのも、ある集団がフリーライダーをうまく抑制できなければ、そこに協力行動や利他行動が広まる余地はないからである(いわゆるお人好しはフリーライダーに搾取されるだけで、自らの遺伝子を広めることができない)。さて、ここでおもしろいのは、本書が独特なタイプのフリーライダーを問題にしている点である。従来おもに論じられてきたのは、いかさま師タイプのフリーライダーであった。それに対して、本書がとくに問題とするのは、攻撃的な圧制者タイプのフリーライダーである。力にものを言わせて、食料や生殖の機会をほかのメンバーから奪い取る――じつはそんなフリーライダーこそが、集団のメンバー(と利他行動)にとって本当の脅威だったと著者は考えるのである。

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