反共感論―社会はいかに判断を誤るか の感想

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参照データ

タイトル反共感論―社会はいかに判断を誤るか
発売日販売日未定
製作者ポール・ブルーム
販売元白揚社
JANコード9784826902014
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

「共感」に対し、悪いイメージを持つ人はほとんどいないだろう。
しかし本書は、共感の意義そのものは認めつつ、それが特に社会的判断において如何に危ないものであるか、道を誤らせるものであるかを、さまざまな事例や実験をもって説得的に示す。

まず共感を、相手の心理を自分が追体験する「情動的共感」と、相手の心理の内容を把握する「認知的共感」を区別する。
認知的共感について言えば、詐欺師やサイコパスはこの能力にむしろたけていることが多く、いじめっ子は相手が何をされたら嫌がるのかをよく理解しているがゆえにその行動をする。

本書では、道徳の基礎は必ずしも共感にはおかれていないことを、例えばごみのポイ捨てや脱税のような「特定個人への被害や共感で特徴づけられない悪」への道徳的批判の存在をあげることで示している。
また共感は、『アンクル・トムの小屋』だけでなく『国民の創生』もそれに訴える作品であったことを忘れることは出来ない。共感は道徳に中立的である。
戦争において「奴らは子供たちを虐殺している」という扇動が行われることは、共感への訴えが戦争を擁護する論としても使えることを示している。
さらに、ナチスの収容所のそばに住む女性は、拷問で囚人が苦しむ声を聴くのが耐えきれないため「ほかの場所で拷問はやってほしい」と頼んだという。共感による基礎づけは「目をつぶる」ということを最良の選択肢としてしまいがちなのである。

共感の問題点として、スポットライトを限定してしまうために、公平性に反する判断を支持するという点を挙げる。
二人の人が数学の試験の競争をしている際、一方の学生が経済的に苦しいことを聞かされると、もう一方の学生(当然何も悪いことをしていない!)に対して与えるハンディキャップ(ペナルティ)をより大きくとる傾向があるという実験もある。
逆に残虐な人間が共感をすべて欠くわけではなく、ヒトラーは犬を愛して狩猟を禁じ、ゲーリングは徹底した動物愛好家だったという。

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