愛を科学で測った男―異端の心理学者ハリー・ハーロウとサル実験の真実 の感想

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参照データ

タイトル愛を科学で測った男―異端の心理学者ハリー・ハーロウとサル実験の真実
発売日販売日未定
製作者デボラ ブラム(著)
販売元白揚社
JANコード9784826901758
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 心理学 » 心理学入門

購入者の感想

当時は異端と言われた心理学者ハリー・ハーロウの生涯を描いたドキュメンタリー作品。
今では常識となっている「幼少期の体験、特に母親や家族との愛情体験が心や身体の成長に、多大な影響を及ぼす」というのは、当時は異端とされていた。
ハリー・ハーロウとサル実験は、「愛」という科学ではタブーとされていた領域への科学的アプローチで、その後の心理学や脳科学などにとどまらず、20世紀の思想に多大な影響を及ぼした。
社会的、政治的な影響で忘れられた存在になっていた、ハリー・ハーロウの研究や生涯だけでなく、
当時の社会状況などもよくわかる、とても丁寧な取材による良質なドキュメンタリー作品

「マズローの欲求段階説」で有名なエイブラハム・マズローはハリー・ハーロウの生徒で共同研究者

星マイナス1は文庫本で出して皆に読んでほしいからで、内容は星5つ!

 赤ちゃんは、抱っこが好き。お母さんが好き。

 100年前、これは「間違え」でした。赤ちゃんを抱きしめ、笑いかけ、話しかけることは「子どもを弱くする悪いこと」でした。
 本書はその時代背景の説明から始まります。ハーロウと言えば、猿の代理母。 赤ちゃん猿への実験が残酷だとして、特異性が強調される科学エピソードです。
 なぜその実験が必要だったのか。その実験によって救われたのは誰か。
 その実験によって暴かれたのは、何か。本書はそれを丁寧にひも解いていきます。
 「人間には、幼児には愛が必要なのだ」
 心理学会で訴えるにしては「ふしぎなほどに文学的、抒情的な内容」のスピーチ。「異端の心理学者」のヴェールをはがし、「赤ちゃんを抱きしめるお母さん」を守ろうと奮闘する男性の姿が見えます。

 本書を読みながら思い出したのは、「赤毛のアン」の続編、アンの新婚生活を語る「アンの夢の家」で、初めての子育てをするアンとギルバートの姿です。
「赤ちゃん言葉で話しかけるのは愚かだ。正統な立派な英語を聞かずして、どうして立派な人間に育つことができるだろうか」
 そんな「学者の育児書」を事前に読んでいたアン夫妻は大いに感銘を受け、「赤ちゃん言葉を使わないで子育てしよう」と話し合っていました。
ですが赤ん坊を抱いた瞬間にアンはその誓いを捨て去り、ギルバートは「神様はどうして母親をこんなふうに作ったんだ」と嘆きます。医者であるギルバートは学者の育児書への信頼がより高かったでしょう。
 
 そんな育児書があるのか、と不思議に思っていたのですが、ハーロウはまさしく、「赤毛のアン」が世に出たころにこの世に誕生しています。まさしく、アンの子ども世代です。「赤ちゃんをかわいがる」「赤ちゃん言葉」は「悪」。その時代の子どもだったのです。
 

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