ジャコメッティ の感想

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参照データ

タイトルジャコメッティ
発売日販売日未定
製作者矢内 原伊作
販売元みすず書房
JANコード9784622044147
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

 フランス、パリ留学中にアルベルト・ジャコメッティと親しくなった哲学者、矢内原伊作は、帰国を間近に控えた1956年9月、ジャコメッティから肖像画を描こうともちかけられ、喜んでモデルとなることを承諾します。
 当初、矢内原は、出発前に絵は完成するだろうと考えていました。しかし、絵の制作が始まって間もなく、彼は自分がまったくの見当違いをしていたことに気づかされます。
 本書は、それから矢内原の帰国延期、帰国、数度の渡仏という過程を経て、概算200日にわたって試みられることになったジャコメッティの肖像画・彫刻制作の様子を、モデルとなった矢内原が記したものです。
 ジャコメッティの仕事はたいていその日のはじめの段階では好調で、「うまく行く、こんなにうまく行くのははじめてだ」といった言葉さえ飛び出しますが、やがて「こいつは怖ろしい」「近づくことは不可能だ」と時間が経つにつれて苦しみだし、悲嘆とともに一日の仕事を終えます。
 毎日毎日、描いては消し、消しては描くの繰り返し。見事に矢内原の顔ができたかと思うと、それはたちまち壊され、仕事が進めば進むほど困難も大きくなります。ジャコメッティは日が暮れて仕事が続けられなくなると、疲労困憊になりながらも「早くあしたになればよい」とくやしがります。
 「眼に見える」顔を「見えるとおりに、つまりサンサシオンに何一つ増減を加えることなしに画布の上に実現する」という自分の願望が不可能な事柄なのではないかと恐れながらも、死にものぐるいで制作しつづけるジャコメッティと、忍耐強くモデルとなり、悲嘆にくれるジャコメッティをときに励まし、ときに叱咤する矢内原。
 『ジャコメッティ』には、極限まで肖像画を究めようと探求した二人の人間の、感動的な姿があります。

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