ヒップの極意 EMINENT HIPSTERS の感想
参照データ
タイトル | ヒップの極意 EMINENT HIPSTERS |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ドナルド・フェイゲン |
販売元 | DU BOOKS |
JANコード | 9784925064750 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 楽譜・スコア・音楽書 » 洋楽 |
購入者の感想
カーヴァーやオースター、マキナニー、サリンジャーと通底するテイストのある読み物になっていて嬉しい。憂鬱と毒吐きは、カーヴァーに近いかな。皮肉ではボネガットも強く入っている。
松任谷由実が昔、「東京近郊に住んでいたから、東京への憧れが強くなった<記憶では八王子>」という意味のことを言っていたが、フェイゲンも同様に、NYから少し離れた街に住むユダヤ系アメリカ人として、アメリカの、New Yorkへの、コアな音楽としてのJazzへの憧れを強くもったのかもしれない。イギリスや日本に対する記述が、アメリカ人のステレオタイプ的でやや興をそぐけれど、彼が注目し続けているのは「アメリカの<何らかの>中心=Hipster」なので、そうなるのである。そしてその傾向は年を経る毎に強くなっている(The Nightflyまでは非アメリカ的なエキゾチックな旋律やリズム、楽器を取り入れて成功していたけど、Kamakiriad以降はすっかり影を潜めた)。
当然ながら、フェイゲン個人の体験をもとにしたエッセイなので、その国や、その街に永く住んでいないと分かりづらい感覚は、やはりある。「わたしはジーン・シェパードのスパイだった」にそれは顕著で、実物をリアルで、その場で見ていない日本人には遠いはなしだ。けれど、全体を通じて軸となる音楽についての多くの話は、読み手側がジャズやブルース、R&Bを聴き込んでいれば同時代人として疑似追体験的なイメージが湧いてくる。自分が聴いていた音楽を、フェイゲンがどう見たか(聴いたか、位置づけているか)を比較しながら読むのは愉しい。
松任谷由実が昔、「東京近郊に住んでいたから、東京への憧れが強くなった<記憶では八王子>」という意味のことを言っていたが、フェイゲンも同様に、NYから少し離れた街に住むユダヤ系アメリカ人として、アメリカの、New Yorkへの、コアな音楽としてのJazzへの憧れを強くもったのかもしれない。イギリスや日本に対する記述が、アメリカ人のステレオタイプ的でやや興をそぐけれど、彼が注目し続けているのは「アメリカの<何らかの>中心=Hipster」なので、そうなるのである。そしてその傾向は年を経る毎に強くなっている(The Nightflyまでは非アメリカ的なエキゾチックな旋律やリズム、楽器を取り入れて成功していたけど、Kamakiriad以降はすっかり影を潜めた)。
当然ながら、フェイゲン個人の体験をもとにしたエッセイなので、その国や、その街に永く住んでいないと分かりづらい感覚は、やはりある。「わたしはジーン・シェパードのスパイだった」にそれは顕著で、実物をリアルで、その場で見ていない日本人には遠いはなしだ。けれど、全体を通じて軸となる音楽についての多くの話は、読み手側がジャズやブルース、R&Bを聴き込んでいれば同時代人として疑似追体験的なイメージが湧いてくる。自分が聴いていた音楽を、フェイゲンがどう見たか(聴いたか、位置づけているか)を比較しながら読むのは愉しい。