女王国の城 下 (創元推理文庫) の感想

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タイトル女王国の城 下 (創元推理文庫)
発売日2012-10-25
製作者有栖川 有栖
販売元東京創元社
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購入者の感想

「数学は科学の女王、
 数論は数学の女王」
  byカール・フリードリヒ・ガウス

『数論』と言えば、大学受験などでは整数問題として扱われ、
数学の中でも「数の性質」そのものを問う学問である。

それらは「○○は××である」と言うようなあまりに単純すぎる問いに対して、
それが正しいか如何かを人間が理解できる領域までに
持って来るために非常に長い証明作業を行う学問であり、
古来より、難関大学を目指す受験生を苦しめ、また偉大な数学者達を魅了してきた。
(例えば、フェルマーの最終定理は1995年に証明された時100ページを越える大論文だったとか)

本書は正にそんな本。

「犯人は△△である」
求められている解だけ見ればあまりに単純であるが、その解に辿り着く過程には、
登場人物のアリバイや属性、殺害現場の状況、二つの花火、凶器の入手経路、過去の事件。
等々の様々な要素を組み合わせ、其処から有機的に繋げて行く事によって
論理を構築していき、ようやくその先にたった一人の犯人が見えてくる。

パズラーな読者の、重箱の隅を突くような考証に耐えられる受け皿を持った作品であり、
その為、普通の読者に向けた本では無く、万人受けはしないだろうが、
間違いなく日本のエラリー・クイーンを標榜する作者の力作である事は間違いない。

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