人類が永遠に続くのではないとしたら の感想

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参照データ

タイトル人類が永遠に続くのではないとしたら
発売日販売日未定
製作者加藤 典洋
販売元新潮社
JANコード9784103312123
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 哲学

購入者の感想

本のタイトルにもなっている、「人類が永遠に続くのではないとしたら」という仮定に対し、
「ではその中で人はどう生きていくのか」という問いに向き合った内容です。
東日本大震災における福島第一原発事故を受けて、著者が近著で論考してきたテーマの総括といった側面もあります。

福島での原発事故によって、保険会社が「原発のリスクを請け負うことを拒否する」ということの持つ意味。
そして、そのことによって見えてくる近代産業社会の持つ「有限性」という側面。
これまでの「外部資源の有限性」という、ともすれば安易なエコロジー論に着地してしまう論考に対して、
「内部から到来する有限性」という論考は、力強い新しい視点を提示しているのではないかと思います。

また、見田宗介氏の社会理論を主軸に、その「有限性」の世界といかに向き合うかという問いを深めており、
「してもしなくてもよい」という自由の持つ「力能」についての論考は、
現代社会の欲望の形態を見事に指摘していると感じ、
昨今の自分自身の価値基準を形成している要素として、たいへん腑に落ちた部分でした。

著者の、安易な慣用句に陥らない「思考を極限まで割った文章」は、
本書でも見事に貫徹されており、思考のドライブ感を味わうことができます。
多彩な社会理論を引用し、時には具体的なデータを提示しつつ進められていく論考は、
知性を心地よく刺激し、しばしばページを閉じて思考の海に耽溺させられました。
また、著者の文章は文体(特に句点の位置など)に特徴があって独特のリズムを持っており、
読んでいると、まるで名指しで自分に直接語りかけられているような気持ちになります。
表現に「詩的」な側面もあり、そういった側面が問いの「切迫性」を強化させている気もします。
本書でも、展開されている論考に対し、「他人事ではない。自分も考えなければ」という思いを強く抱かされました。

著者が、あとがきに「この本で何かが成し遂げられたのかそうではないのかが、

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