孔子伝 (中公文庫BIBLIO) の感想

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参照データ

タイトル孔子伝 (中公文庫BIBLIO)
発売日販売日未定
製作者白川 静
販売元中央公論新社
JANコード9784122041608
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 東洋思想 » 東洋哲学入門

購入者の感想

呉智英氏の『封建主義者かく語りき』で必読の文献と紹介されていたので、手にとってみた。

本書は、孔子にまつわる5つのテーマ、すなわち、

・孔子はどのような生涯をおくったのか

・儒教はどのように成立したのか

・孔子の生きた時代の政治環境はどうだったのか

・儒教の批判者

・論語とはどのような書物なのか

について論考したものである。資料を多数引用し、切れのよい論理展開で、孔子が生きた2500年前の中国社会の実態を追って、たいへん迫力がある。

たとえば、知られている孔子の生涯は基本的には司馬遷の『史記』の記述によっているが、白川博士は、同時代の他の資料や記述を渉猟して、孔子についての史記の記述には相当の虚構が含まれている、と断じる。孔子は生まれは不詳、おそらくは巫女の私生児で、40代になって自らの教団が力をもってくるにつれ世に出た、とする。

あるいは、儒教がなぜ「儒」というのか、実はよくわかっていないそうだ。これを「儒」とは男巫が雨乞いをする形である、という解字を手がかりに、儒教は天と人とをつなぐ祭礼をベースに発展した思想であるとする。筆者は勉強が足りないのでしかとはわからないが、他の書物とは違う、かなりユニークな解釈をしているように思う。

白川博士は1910年生まれだから今年(2006年)94歳、漢字研究の第一人者で『漢字百話』など著作も多い。これまで読む機会がなく、白川博士の本はこれが初めてだったが、文章の歯切れがよく、説明も言を尽くして丁寧なので、素人にもよくわかる。専門家の論文の格調を失わず、なおかつ読んでおもしろいのである。すっかり白川ファンになってしまった。これを機に白川博士の著作を一通り読んでみたいと思う。

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