Elysion 二つの楽園を廻る物語 (上) の感想

2005年に発売されたSound Horizon 4th Story CD 【Elysion 〜楽園幻想物語組曲〜】を、十文字青先生がノベライズした作品です。
サンホラを知っている人ならご存じかと思いますが、エリュシオンのキャッチコピーは『退廃へと至る幻想･･･ 背徳を紡ぎ続ける恋物語･･･』であり、エロティシズムとグロテスクが絡み合ったダークファンタジーです。そのため、小説でもアレな描写や官能的な表現が出てきます。
CDでは描かれていない部分を補完するのに相当苦労したと想像できますが、本作はあくまでも「数ある解釈の一つの形」であると明記されています。
例えば、漫画版『Roman』と同じキャラクター（『歓びと哀しみの葡萄酒』のロレーヌと駆け落ちした使用人）が出てきますが、漫画ではネイジュという名前だったのに対し本作ではクロードとなっており、解釈に幅を持たせています。
私も10年近くCDを聴いてきたにもかかわらず、新たな発見と感嘆がありました。
文体もとても読みやすいので、普段ライトノベルしか読まない人でも苦労しないはずです。

・00　魔女とラフレンツェ　
・01　Lの肖像
・02　Ark
・03　Lの天秤
・04　Baroque
・05　Lの絵本

・カラーイラスト　4頁
・挿絵　8頁
・各章ごとの登場人物紹介
・十文字青と左のあとがき

Sound Horizonファンの方は是非読んでみてほしいです。
特に、コンサートDVDでエリュシオンという物語へのイメージが固まってしまった人は、異なる解釈に触れてみるという意味でも面白いと思います。