独裁者プーチン (文春新書 861) の感想

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参照データ

タイトル独裁者プーチン (文春新書 861)
発売日販売日未定
製作者名越 健郎
販売元文藝春秋
JANコード9784166608614
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

08年までの第1期プーチン時代はロシア史上に輝く活況だった。独裁者に似つかわしくないことにプーチンは、メディアに出るのを好む。マッチョな肉体を晒したり、自ら飛行艇を指揮して森林火事に放水したり、テレビの生対話で国民の訴えを聞いて叶えたり悪い役人を懲らしめたりと水戸黄門気取りで大喝采。その一方で、プーチン率いるサンクトペテルブルグ閥と治安機関がロシアの政治経済を完全に支配している。

日本では信じられないことだが、サンクト閥の高官の多くが国営企業のトップを兼任し、柔道仲間は国有企業の払い下げで数千億円の資産を持つ大富豪になってしまった。資源依存で獲得した数十兆円の外貨は国民とお仲間へのバラマキに当て、インフラや国内産業へほとんど振り向けない上、企業国有化による独占を自分の取り巻きに与える利権構造が確立されているため、汚職腐敗が社会の隅々まで行き渡っているという。資源を輸出して完成品を輸入する産業構造であり、創意工夫より政権にしがみついて利権のおこぼれに与る方が得という意識になりやすい。プーチン・ロシアは「強いロシア」を演出することで自分たちの利権を維持しようとしている。絶望的な閉塞感。3年間で百万人が海外へ移住したというのもうなずける。

あとがきが鮮烈かつ印象的だ。日本の政治家で言えば、プーチンは吉田茂、小沢一郎、橋下徹、菅直人、後藤田正晴、安倍晋三、宮沢喜一、石原慎太郎、田中角栄の顔を持つ。文武両道で野卑、怜悧な激情家。良くも悪くも彼らを足して割った男なのだろう。そしてプーチンの対極にいるのが鳩山由紀夫。当事者意識がゼロ。そうだろうなあ。著者は丸々一冊使って、プーチンを批判しているのだが、最後はプーチンが日本の指導者なら…原発は、少子化対策は、地方行政改革、「プーチンの独裁的手法を見ていると、危機が進行しても決定に膨大な時間を空費している日本の政治に苛立つ」という著者の嘆きで締められる。

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