1Q84〈BOOK3〉10月‐12月〈後編〉 (新潮文庫) の感想

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タイトル1Q84〈BOOK3〉10月‐12月〈後編〉 (新潮文庫)
発売日2012-05-28
製作者村上 春樹
販売元新潮社
JANコード9784101001647
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » ま行の著者

購入者の感想

牛河が青豆と天吾にあと一歩のところに迫るも、タマルに阻止され、めでたく青豆と天吾が結ばれるという極めて凡庸な筋書きで、拍子抜けしてしまった。牛河がタマルに殺されるのは納得できなかった。牛河については前巻から章が割り当てられていて、入念にキャラクターメイキングされていて、それなりに不気味なオーラを醸し出していたのだが、あっさりとタマルに殺されてしまう。これでは単純な勧善懲悪の推理小説ではないか。絶対無敵なタマルの存在も、この作品から繊細さを奪ってしまっているように思われる。最後に青豆と天吾が出会ってから何が起こるのだろうと読者は胸をときめかせていたことと思うが、すんなりと元の1984年の世界に戻ってしまい、性交をして、おしまい。この村上春樹にとっての最大の作品を振り返ってみると、前半は読み物としてそれなりに面白いと思ったが、中盤から俗っぽさが目につくようになり、後半に至っては凡庸な推理小説になってしまった。ふかえりの行方や、リトルピープルの正体等、結構重要なところがおそらくは文学的効果のために不明確なまま物語が閉じられているが、ここまで凡庸な作品になってしまったのだから、いっそのこと明らかにしてしまった方が良かったのではないか。ここ数年の村上春樹の長編の中では率直に言って一番の駄作だと思う。

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