パイドン―魂の不死について (岩波文庫) の感想

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参照データ

タイトルパイドン―魂の不死について (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者プラトン
販売元岩波書店
JANコード9784003360224
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » 西洋哲学入門

購入者の感想

 先日、清水幾太郎さんの『本をどう読むか』という本を読んだのですが、その本の中に「古代の読書論」として本書の名前が出てきたので興味を覚えて読んでみました。
 紹介文を読んだ時点で予感はあったとはいえ「読書論」に該当しそうな箇所は、有名な<言論嫌いは人間嫌い>のくだり位だったので「あれー」とはなりましたが、それはそれとして、本書はためになりました。
 元々私はごく非論理的な頭をしており、数年前に『ソクラテスの弁明・クリトン』を読んだときには、偉大な哲学者ソクラテスの見事な最期に感動したものの同書で展開される論理自体はちんぷんかんぷんでしたが、数年間の世界を股にかけた読書修行の成果か、今回は結構(少なくとも数年前よりは)論理の展開についていけました。「これはちゃんと読めば弁論とか説得術の勉強になる!」と思えるレベルにようやく到達できて嬉しいです(遅いですけどね)。

 感じたことは色々ありますが内容については他のレヴュアーさんが十分書いておられるので、別の角度から書きます。私が本書を読んで一番心に残り見習いたいと思ったのは、ソクラテスの<教育者>としての側面というか、立派さでした。
 ソクラテスは、自分の主張や信念に殉じて生きることを自らが範となって青年達に示しているのは勿論ですが、一方で彼は自分の説に対する反論者に対して非常に礼儀正しく穏健であり、素晴らしいことに反論に反論する前にまず反論者を褒めます。「賢いものよ」とか「友よ、おそらく君には真実が見えているのだろう」といった具合に。いくら真理探究のために率直に議論をすると言っても人間ですから、持論を打ち砕かれれば感情的になったり、また生徒が自信を失ってしまうこともあるでしょう。特に日本人は議論する文化が脆弱なのでそういうことが多い。教師に、この一言の褒め言葉を相手に、また生徒にかける気持ちがあるかどうかは非常に重要なことだと思います(ソクラテスのこうした態度はアイロニーなのかもしれませんが・・)。
 また<言論嫌いは人間嫌い>のお話にも、現実の生活の中で現実にいる人間を相手に真理を探究し哲学する地に足の着いた精神を感じます。

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