出家とその弟子 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル出家とその弟子 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者倉田 百三
販売元新潮社
JANコード9784101059013
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » か行の著者

購入者の感想

「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」、の言葉で有名な歎異抄を下敷きにして、老境の親鸞と息子の善鸞及び唯円の二人の弟子との問答を軸に戯曲仕立てにしたもの。宗教と恋愛(を中心とする煩悩)の相克というテーマを情熱的に描いた作品としてロングセラーを誇る。

本書のテーマは若い頃の親鸞が悩んだテーマでもある。本書での親鸞は既に他力本願の悟りを開いており、祈りの重要性を静かに教え諭す。そして、全てを赦す。唯円は純粋で、一方で純愛に悩みながら、信仰に対してもひたむきである。それだけに、悩みも深い。善鸞は親鸞の子でありながら、世俗の誘惑に溺れ信仰を拒否する。宗教に対して一般に邪魔になると言われる、恋愛、性欲、世俗の誘惑。これらに対して、親鸞はありのままに受け止めるよう諭す。宗教を、一般の人間が抱える夢と置き換えれば、本書のテーマは宗教に限らず普遍的なテーマになる。また、唯円、善鸞を自らに置き換えれば、青春時代誰もが抱える問題であろう。レビュー・タイトルで宗教文学と書かず、敢えて青春小説と書いた所以である。

面白い事に、作者は仏教徒ではなかったそうである。また、本書執筆時は病身だったという。病気の時に感じる体の熱さが、作品から感じられる熱気に繋がっていると感じるのは私だけだろうか。恋愛、性欲など青春期に誰もが悩む問題を率直に投げ出し、それに対する究極の赦しを示した青春小説の名作。

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