骨董 緑青〈35〉特集・森田藻己の世界―根付・堤物と細密彫刻 の感想
参照データ
タイトル | 骨董 緑青〈35〉特集・森田藻己の世界―根付・堤物と細密彫刻 |
発売日 | 販売日未定 |
販売元 | マリア書房 |
JANコード | 9784895115650 |
カテゴリ | ジャンル別 » アート・建築・デザイン » 彫刻・工芸 » 工芸 |
購入者の感想
骨董緑青(こっとうろくしょう)は京都の美術出版社・マリア書房が出しているシリーズで、今回は現代根付師 森田藻己(もりたそうこ)の特集だ。
明治維新以降に和装が洋装に変わり、帯から提げる巾着などの留め具として使われた根付の需要が無くなった。その後日用品としてではなく美術彫刻として作られ、現代根付と呼ばれるようになった。森田藻己はその現代根付作家の中でも天才と称される名工の一人だ。
P.22にある『牙彫野菊根付』を見るとこの作家の特徴がよく分かる。全長4.3センチの作品の中に花びらの筋や菊の葉の葉脈、細い茎の間まで丁寧に彫り込まれている。
この超細密彫刻を実現するために、藻己は作品を作るより刀を研ぐ時間を多くかけたという。日本根付研究会会長 渡辺正憲が書いた解説には、<根付を彫るためには数十本の異なる彫刻刀が必要であり、弟子であった江川藻谷の思い出話によると、藻己は200本もの刀を使い、砥石を常に傍に置いていた>とある。根付はどれも数センチの小さい彫刻だが、藻己の繊細で写実に徹した作品は群を抜いて美しい。
藻己の作品を数多く掲載している本書で名人の技巧を目撃しよう。
明治維新以降に和装が洋装に変わり、帯から提げる巾着などの留め具として使われた根付の需要が無くなった。その後日用品としてではなく美術彫刻として作られ、現代根付と呼ばれるようになった。森田藻己はその現代根付作家の中でも天才と称される名工の一人だ。
P.22にある『牙彫野菊根付』を見るとこの作家の特徴がよく分かる。全長4.3センチの作品の中に花びらの筋や菊の葉の葉脈、細い茎の間まで丁寧に彫り込まれている。
この超細密彫刻を実現するために、藻己は作品を作るより刀を研ぐ時間を多くかけたという。日本根付研究会会長 渡辺正憲が書いた解説には、<根付を彫るためには数十本の異なる彫刻刀が必要であり、弟子であった江川藻谷の思い出話によると、藻己は200本もの刀を使い、砥石を常に傍に置いていた>とある。根付はどれも数センチの小さい彫刻だが、藻己の繊細で写実に徹した作品は群を抜いて美しい。
藻己の作品を数多く掲載している本書で名人の技巧を目撃しよう。