ロック母 (講談社文庫) の感想

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タイトルロック母 (講談社文庫)
発売日販売日未定
製作者角田 光代
販売元講談社
JANコード9784062766708
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » か行の著者

購入者の感想

角田さんが25歳時芥川賞候補になった『ゆうべの神様』から15年、常に書き続けていた角田さんの短編集が収まったこの本は、角田さんの書き方が変化していった15年が辿れる短編集だった。
本人は拙いと下した『ゆうべの神様』も作品としては荒いが、無骨ながら今の角田小説が伺える。
角田さんの小説は、良く言えば丁寧、悪く言えば煩い。
それは主人公の心の動きに対しての描写が、アジアの町の喧騒を思わせるような騒々しさにある。
今回の短編集にも、人間のみっともない箇所が愚痴を並べるように続く。
自分の家が嫌いな女子高生『ゆうべの神様』
バンコクでぐたぐたする女『緑の鼠の糞』
上海でイライラする男『爆竹夜』
前妻を妄想する女『カノジョ』
未来を決断出来ない女『ロック母』
醜悪な家族が恋しくなる女『父のボール』
失ったものに気付く女『イリの結婚式』
人がいかに無様でちっぽけなものなのか突き付けられている気持ちになる。
もちろんそれに答えなどないから、心だけ揺れてしまう。
その心を揺れを直視出来ると好きで、直視出来ないとこの本は嫌かもしれない。

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