創価学会 (新潮新書) の感想

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参照データ

タイトル創価学会 (新潮新書)
発売日販売日未定
製作者島田 裕巳
販売元新潮社
JANコード9784106100727
カテゴリ人文・思想 » 宗教 » 新興宗教 » 創価学会

購入者の感想

 物事は多面的である。そして、人は見たいように物事を眼差す。だからこそ、『中立』や『客観』を身に纏おうとする者には必ず隠された意図があると思って間違いない。そう思った方が、情報の大海となった現代社会を賢明に渡り歩くことが出来るだろう。著者はメディアにも度々登場する宗教学者である。そして毎年、数々の新著を世に送り出している。著者の作品のタイトルには冠婚葬祭、プア充、スマホ、末っ子男子、厄年などの言葉が躍る。そんな著者が勤めていた大学を追われることになった経歴はここではあえて詳述しないが、創価学会に関連する著作もコンスタントに発刊されている。そんな著者の作品の一つに「新宗教ビジネス」なるタイトルがあることは何とも皮肉である。

 この本の結論は「創価学会は巨大な村である」という一言に尽きている。なぜ著者はそのような結論を導き出したのであろうか。その答えの一端として知っておくべきなのが、著者は若い時分にヤマギシ会に心酔していた時期があることを明言しているということだ。ヤマギシ会は山岸巳代蔵という指導者の提唱した理念に基づいて、ユートピアの建設を目指して共同生活を営む集団である。そんな著者は、創価学会を池田大作SGI会長という『カリスマ』に支えられた『巨大な村』だと結論付けているのである。

 もし読者が創価学会における内在的な信仰の在り方を知りたいと思うのであれば、信仰者の視点で創価学会を論じている佐藤優や松岡幹夫らの著作をおすすめしたい。もし読者が創価学会に関する学術的な研究の成果を知りたいと思うのであれば、教義に精通した西山茂やしっかりとした実地研究に基づいた海外の学者の書いた著作をおすすめしたい。そしてもし、読者が島田裕巳の考える創価学会を知りたいと思うのであれば、この本はそんな読者にとって必読の書であることは間違いないだろう。

今まで創価学会を扱った本は、批判か絶賛、どちらかのトーンで書かれたものばかりでした。

しかし、この本はそのどちらのトーンでもない、終始客観的な態度で書き上げられていました。

なんだか新鮮でしたね。著者に好感がもててしまったくらいです。

正直、客観的であるがゆえ、著者自身に創価学会に対する興味や知識があまりないのか、少し淡白すぎる内容のようにも感じましたが、まあ入門書としてはこれでよいのでしょう。

創価学会についての基礎的な知識を得ることができます。

わたしはどちらかというまでもなく、創価学会について批判的に書かれた本ばかり読んでしまいがちな傾向にあるので、この本を読むことによって中立的な視点を取り戻せたように思います。

創価学会に対して批判的な方も、肯定的な方も、一度冷静になって中立的な視点からこの本を読んでみてはいかがでしょう。もう一度ゼロから創価学会について考えることができるようになれるかもしれません。

偏らずに、事実を淡々と述べている感じだが、全体としては創価学会にとってプラスのイメージに
つながる印象である。というのも、本書にも記されているが、この手の本が発行される時、
学会にとってよくないと思われるモノに関しては圧力がかかるのは当然である。
本書が発行されている時点で、創価学会としては許容範囲であったのではないかと容易に想像できる。

良いイメージと捉えた部分に関して、下記の通り抜粋する。

・「池田(創価学会の現名誉会長)は、一般の新宗教教団の教祖とは異なり、
 その霊的な力で病気直しを行うような存在ではない。むしろ、学会員にとっては、
 日蓮の遺文の解釈者であり、仏法の解説者である。(略)彼らが会員であり続けるのは、
 たんに池田を信奉するからではなく、相互扶助組織としての創価学会の一員である事が、
 現実的なメリットをもたらすからである。」(P170)

・「学会の中ではインテリ、知識人階層は必ずしも高く評価されない。インテリは、
 民衆である一般の会員に奉仕すべきであるとされ、その点を忘れていると、
 池田から容赦ない叱責を浴びる事になる。(略)インテリの否定と民衆の重視は、
 創価学会の組織が官僚化していく事を防ぐための手立て」(P179)

高度成長に押されて、農村部から都会に出てきた人達の、故郷から切り離された孤独感に
後押しされた創価学会の存在は、現在において、都会の周りとの人間関係が希薄な、
今まで以上に「つながり」を求められる時代において、どのような役割を果たしていくのか気になる。
とにかく、「相互扶助組織」としてメリットを感じて、創価学会に所属する人々の気持ちが
非常によくわかる内容だった。

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