有閑階級の理論―制度の進化に関する経済学的研究 (ちくま学芸文庫) の感想
参照データ
タイトル | 有閑階級の理論―制度の進化に関する経済学的研究 (ちくま学芸文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ソースティン ヴェブレン |
販売元 | 筑摩書房 |
JANコード | 9784480084163 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論 |
購入者の感想
岩波文庫の小原訳から「読みやすくなっている」というのが一般の評価のようだが、英語の原本と対比しながら読むと「?」が連続する不思議訳。一般的にいえることは、小原訳が原語に忠実に訳している結果、多少日本語として読みにくくなっているのは事実だが、高訳は読みやすいように見える反面、原文で説明しにくい謎の意訳が頻出する。全体の傾向としていいえるのは、日本のマルクス主義の術語で無理矢理訳そうとしていること。たとえば、この訳書の17頁で、classというごく普通の英単語を、「階級制」とわざわざ訳したり、individual ownershipを、個人所有としないで「私的所有権」としたりする(普通はprivate property)。これらはほんの一例で、最初から終わりまでこの種の訳し替えが連続する。結果、この訳書を読んだ読者は、「ヴェブレンはマルクス主義者だ!」という印象を受けてしまう。これはヴェブレンという人物そのものの評価をめぐる問題なので、あえて長文の注意書きを書きました。