タックス・イーター――消えていく税金 (岩波新書) の感想

日本財政破綻を招いた昭和から平成に至る「国民の無関心」「官僚達の確信犯的無駄使い」「無駄使い応援団の族議員」「族議員に票か資金提供しながら税金にたかる者達」について、元大蔵省主計局の現場に身を置いた著者の目から見た実態が書かれています。

「租税特別措置法」の不公平と不条理には私も怒りを覚えていましたが、著者によれば「租税特別措置法」などまだまだ序の口ということで、著書に書かれてるとおり「税金無駄使い」は途方もないスケ-ルで日本国家財政をボロボロにしてしまいました。

怒りと諦観の念が満ちた素晴らしい著作です。

前作の良著「タックス・ヘイブン」では、著者の身体の奥から溢れる怒りが感じ取れましたが、今回の著作では怒りだけではなく、「もう手遅れかもしれない・・」という半分諦めの気持ちが行間に感じ取れます。

悲しくも、恐ろしい内容です。

『タックス・イーター――消えていく税金』（志賀櫻著、岩波新書）を読んで、税金を貪欲に食い荒らす輩に対する激しい怒りが沸々と湧いてきた。税金を納めるのは国民の義務と弁えて、私たちは重い負担を我慢しているというのに、特定の連中にこのように勝手なことをされては堪らない。

明快な論理展開で、タックス・イーターの正体がじわじわと炙り出されていく。