老いてこそ遊べ の感想
参照データ
タイトル | 老いてこそ遊べ |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 遠藤 周作 |
販売元 | 河出書房新社 |
JANコード | 9784309021706 |
カテゴリ | 文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » あ行の著者 |
購入者の感想
衆知のように遠藤周作は狐狸庵山人と号しました.「イエスの生涯」「沈黙」など純文学を書く人は遠藤周作です.一方,類い希なる好奇心とユーモアで吾らを笑わせてくれるのは狐狸庵先生でした.本書もまた笑いが諸処に仕掛けられていますから,狐狸庵先生が書いたように思えます.が,笑いの奧に遠藤周作が潜んでいます.つまりこの本の本質は狐狸庵風に書かれた遠藤周作による内省的自伝みたいなものです.遠藤周作さんは心根の優しい人だった.だから人の愚かさを描いても決して悪口にならない.人って愚かだけど,だからこそ可愛いではないか,となるのです.狐狸庵先生も可笑しい人だった.可笑しく,しかも優しい人だった.エッセイ40編を収録した本書は遺書のようでもあります.老若男女,誰が読んでも心が動くでしょう.人生の黄昏にある私は身につまされました.彼は1996-9-29に亡くなった.享年73歳.この本にある「桜は鏡」は死後の1997-7に文藝春秋に載りました.もっと長生きし,もっと書いて欲しかったですね.