生成文法の企て (岩波現代文庫) の感想

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タイトル生成文法の企て (岩波現代文庫)
発売日販売日未定
製作者ノーム・チョムスキー
販売元岩波書店
JANコード9784006002534
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 言語学 » 言語学

購入者の感想

「人間の言語習得は知性の獲得を証明するものではなく、単に種の進化の延長であるーー。」
はじめてこの考え方に触れたとき、正直なところ拒絶の感情を抱いた。
言語の獲得。これこそ人類が手に入れた最も価値ある道具であり、およそ人間が産み出したあらゆる文化・技術の成立の基盤にあって、いまや現代社会を支える最たるもの。私の言語観とはこのようなものだった。
しかしチョムスキーの主張は違った。言語はあくまで進化の過程で生まれ出でた産物にすぎぬという。言語の獲得は人類の不断の努力によってもたらされた成果などでは決してなく、そもそも新人に遍くプログラミングされた潜在的なものであるらしい。いわゆる普遍文法と呼ばれる概念である。
生成文法の面白さは、全人類に共通の言語能力が脳内に存在し(普遍文法)、個別の言語の獲得に際しては個別言語の言語構造に対応しながら脳内の言語能力が生成されたもの(生成文法)、という考え方をするところにあろう。これは非常に独特であるように思われた。と同時に、心理学界における遺伝主義、生得論に通じるところがあるようにも思われた。
当初は相容れぬと切り捨てた生成文法も、学部で心理学に出会い、精神分析学を学ぶうちに馴染みやすくなってきた。
今はまだこの理論の多くを知らないが、自身の学問探究の深化に繋がればと思っている。

著者のエイヴラム・ノーム・チョムスキー(Avram Noam Chomsky)は、アメリカの言語学者、思想家。
マサチューセッツ工科大学教授。
チョムスキーの提唱する生成文法とは、脳の言語野に損傷を持たない人間は
幼児期に触れる言語が何であるかにかかわらず驚くほどの短期間に言語獲得に成功するが、
これは言語の初期状態である普遍文法UG(universal grammar)を
生得的に備えているためであると考える。言語を司る「器官」を心/脳のモジュールとし、
言語学を心理学/生物学の下位領域とする。

生成文法の「生成」とは、むしろ「定義」の意味に近い。

といったチョムスキーの考え方を本人へのインタビューによってより分かりやすく、
理解せしめようとするのが本書である。

失語症の中で、文法失認という状態になって、単語を文法にあわせて並べられなくなる人がいるが、
そういう人は、言語家の損傷が理由であることが、現在の脳科学の進歩で、明らかになりつつある。

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