ひそやかな花園 (講談社文庫) の感想

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タイトルひそやかな花園 (講談社文庫)
発売日2014-02-14
製作者角田 光代
販売元講談社
JANコード9784062777582
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » か行の著者

購入者の感想

ページを開いたその瞬間から本を閉じられなかった。

幼少時代の夏にどこかの別荘地で集まった子供たち。
どんな関係なのか、どうして集まっているのかは親からは
なにも知らされず、でも子供たちはその夏の別荘地での
キャンプを心から楽しみにしていた。

第一章は1985年から始まる。視点はその子供の視点。
それぞれの子供がかわるがわる語る夏のキャンプの様子。
どの子のそれを読んでもなんだか懐かしく、情景が美しく
読んでいてとっても心地よかった。それでも何故どんな関係で
集まっているのか?その謎が第一段階として匂わせてあって
楽しんで読みながらも、どんな関係なの?どんな謎があるの?と
頭の中で推理しながら読み進めた。
キャンプはある夏から突然終わり、親たちとの会話ではタブーに。
それぞれの子供がだんだん成長していき1999年で第一章は終わる。

第二章は2008年から
大人になった当時の子供たちがどんな風に暮らしているか
各人の視点で書かれている。それぞれの子供が大人になった今も
あのキャンプはなんだったのか、日常の中ふと思い出して
気にかけている。そしてそれぞれがなんらかの形で繋がっていき
キャンプに集まった子供たちにある共通点があることに気づいていく。

共通点はなんだったのか?その謎説きが興味深く、どんどん
ページをめくっていった。個々人が接触しだすところが
かなり面白かった。

第三章は2009年
謎はとけて、キャンプで集まった理由がわかったものの
新たにどうしても解き明かしたい事実があり、協力したり
協力しなかったり、物語の核心にせまっていく。

それぞれの事情や悩みと本当に知りたい事は知ってしまって
良いのか?知らない方がいいのか?その部分の各人の心の
揺らぎがとてもうまく描写されていて、それぞれの人に感情移入を
しながら読んでしまう。

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