君に目があり見開かれ の感想

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参照データ

タイトル君に目があり見開かれ
発売日販売日未定
製作者佐藤文香
販売元港の人
JANコード9784896292879
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 詩歌 » 句集

購入者の感想

佐藤はマンガの監修や女性誌などでの活躍が目立つ俳人だ。
ポップな俳句にはあまりいい印象がなかったので、
この句集にも期待していなかったが、価格が安いので購入してみた。

思いのほか内容は充実していた。
しっかり句が厳選されているのか、ポップで軽薄な印象はなく、
よく目配りの利いたバランスの良い句集だった。
旧仮名、現代仮名遣いといろいろやるわりに、
無理なくうまく処理できてしまうのが優等生的で心憎い。

俳句を現代的にしようとするあまり、
前衛を気取って自意識系の句を作る人も少なくないが、
佐藤は「レンアイ句集」と銘打ちながら、
つまらない自意識が表面化することに禁欲的である。

俳句とは形式だと思いすぎると、
主体を遠ざけるわりに自意識を表面化させる貧しい句を書きがちだ。
佐藤の句はしっかりした実体験を背後に感じさせながら、
もとの体験そのものに着地させずに、
俳句としての体験を味わわせることに成功している。

 電球や柿むくときに声が出て
 今日の手をあつめてすすぐ月の庭
 ゆふぐれの蜂蜜ごしに濃き夕日

俳句をやらない私には、
難しい季語が少ないこともありがたい。
あえて距離感を出すために季語を用いたりせず、
句の中に違和感なく収まる季語を選択しているからかもしれない。

 手紙即愛の時代の燕かな
 末黒野へ罫線入りの紙飛行機
 たんぽぽを活けて一部屋だけの家
 夏蜜柑のぼりきれば坂ぜんぶ見える

「レンアイ句集」と言うからには多くは恋愛の句であるのだろうが、
あまり恋愛を意識せずに読めるのが不思議だ。
(もちろん、いかにも恋愛の句というものもあるが、
そういうものはほとんど良い句ではなかった)
そもそも俳句と恋愛はそれほど親しいものではない気がするので、
意識せずに読める句でなくてはいけないのかもしれない。

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