パンセ (中公文庫) の感想

パスカルは真理について、鋭く、分かりやすく語ることの名手です。そして『パンセ』は、パスカルが真理を明らかにするために熟考し、書きためた短い断片を、そのまま一冊にまとめたものです。ですから、普通の哲学書や思想書とちがって摘み食いをしたり、行きつ戻りつするような読み方もありです。
この訳は各断片をテーマ別に分類整理したブランシュヴィックの版を、パスカル研究の世界的な権威である前田陽一と、牧師であり讃美歌作家でもある由木康が分担して翻訳したものです。パンセから人生や真理について学ぼうとするなら、最も読みやすく、安心できる翻訳です。以前は『世界の名著』に、前田陽一の充実した解説と、パスカルの『小品集』とともに収められていた訳ですが、本書では解説は短くされ、『小品集』は割愛されているのが残念です。
今まで多くの人の人生を変えてきた、この名著を是非一度お読みください。