ふがいない僕は空を見た (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトルふがいない僕は空を見た (新潮文庫)
発売日2012-09-28
製作者窪 美澄
販売元新潮社
JANコード9784101391410
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » か行の著者

購入者の感想

R-18文学賞大賞作品「ミクマリ」の斎藤くんとその周辺の人々をめぐる連作短編集。
出だしから、うまいなーと感心しながら読み進める。でも、そのうまさというのはプロのライターの書く小説の上手さであり、正直、性やコスプレが題材に使われることには抵抗があった。性と生はすごくつながっているんだけども、うーーん、という感じで・・・。

「セイタカアワダチソウの空」を読んでびっくり!
抑えた文章の中に確かに存在するのは、まぎれもなく山本文緒氏の評するところの「この世に生まれ落ちることの苦悩と喜び、その凄まじい痛みに涙が出た」このままの心境になったのである。淡々と爽やかに描かれているけど、けなげに冷静に自分の運命を受け入れている福田くんに涙した。田岡の哀しい習性と人間臭さにも・・・・。
この一編がすべてを物語る。すべての登場人物を理解できる。

つまりそれぞれの登場人物が見上げた空は、ふがいないけど、どこか優しい空気で繋がっているということだろうか。

結果的に、今生きている人々の抱える問題や貧困、孤独感もきちんと描かれて山本周五郎賞にふさわしい作品になった。

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