シドモア日本紀行 (講談社学術文庫) の感想
参照データ
タイトル | シドモア日本紀行 (講談社学術文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | エリザ・R・シドモア |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784061595378 |
カテゴリ | 文学・評論 » エッセー・随筆 » 日記・書簡 » 英米文学 |
購入者の感想
「シドモアの桜」で有名なシドモア女史の日本旅行紀。
作中から、日本への愛が溢れんばかりに感じられます。
西洋人の目は時に不当な東洋人蔑視に陥ることも多々ありますが、彼女はまるで正反対。
かえって文明の波に溺れた同国人をシニカルな目で見つめ、
独自の文化を残す日本を、まるで「おとぎの国」かのように描きます。
「リリパット小人国」という表現にもあるように、彼女の視線は時に少女趣味さえ
感じさせる夢想の中にあるかのようで、日本人である私にはくすぐったく感じられる程でした。
明治時代に日本を訪れ長く滞在した彼女は、その好奇心にかられ、人力車に乗ってほうぼうへの旅行を試みます。
面白いと思わせるのは、人力車の車夫に関する記述。
車夫といえば過酷な労働の代名詞でありましたが、中には単なるクルマ挽きにとどまらず、
その知識を生かしてガイド的性格を兼ねたものがいたことがわかります。
そして彼らは、シドモア女史ら外国人のよきパートナーとなっていたようです。
通勤電車の中、私は一週間シドモア女史と書の旅をともにしました。
ふと目を上げると忙しげに通う人、人、人。
シドモア女史の見た美しい幻想の国はどこへ行ってしまったのかと、日本人ながら呆然とする思いです。
無論、この国は彼女の見たような夢の国ではないことは知っています。
(そしてそれはシドモア自身も気づいていた)
いたずらに過去への回帰を目指すつもりもありません。
しかしかつてあったはずの古き良き日本の美にも、時には目を向けられる余裕は欲しい。
本書はそんな夢の旅に連れて行ってくれる一冊です。
作中から、日本への愛が溢れんばかりに感じられます。
西洋人の目は時に不当な東洋人蔑視に陥ることも多々ありますが、彼女はまるで正反対。
かえって文明の波に溺れた同国人をシニカルな目で見つめ、
独自の文化を残す日本を、まるで「おとぎの国」かのように描きます。
「リリパット小人国」という表現にもあるように、彼女の視線は時に少女趣味さえ
感じさせる夢想の中にあるかのようで、日本人である私にはくすぐったく感じられる程でした。
明治時代に日本を訪れ長く滞在した彼女は、その好奇心にかられ、人力車に乗ってほうぼうへの旅行を試みます。
面白いと思わせるのは、人力車の車夫に関する記述。
車夫といえば過酷な労働の代名詞でありましたが、中には単なるクルマ挽きにとどまらず、
その知識を生かしてガイド的性格を兼ねたものがいたことがわかります。
そして彼らは、シドモア女史ら外国人のよきパートナーとなっていたようです。
通勤電車の中、私は一週間シドモア女史と書の旅をともにしました。
ふと目を上げると忙しげに通う人、人、人。
シドモア女史の見た美しい幻想の国はどこへ行ってしまったのかと、日本人ながら呆然とする思いです。
無論、この国は彼女の見たような夢の国ではないことは知っています。
(そしてそれはシドモア自身も気づいていた)
いたずらに過去への回帰を目指すつもりもありません。
しかしかつてあったはずの古き良き日本の美にも、時には目を向けられる余裕は欲しい。
本書はそんな夢の旅に連れて行ってくれる一冊です。