日本占領史1945-1952 - 東京・ワシントン・沖縄 (中公新書) の感想

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タイトル日本占領史1945-1952 - 東京・ワシントン・沖縄 (中公新書)
発売日販売日未定
製作者福永 文夫
販売元中央公論新社
JANコード9784121022967
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

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獨協大学教授(政治学)の福永文夫(1953-)による戦後占領期の国内政治史の概説。

GHQ-SCAPによる日本占領は1945年8月から1952年4月までの6年8か月に及んだ。この間の多岐にわたる政治・行政改革が、独立後の日本に多大な影響を及ぼしたことは広く知られている。

本書の特色は以下2点である。
1点目:本土-沖縄を対比させながら、占領期の地理的な多面性を描き出したこと。
2点目:政治史の中心を吉田茂および自由党(民自党)単独ではなく、中道政権(片山・芦田政権)の二軸で描いたこと。

占領政策を米英ソ中を中心とした国際政治の中で位置づける場合、沖縄に対する米国軍部の主張は当然外すことはできない。著者と同じ五百旗頭門下のエルドリッヂが『沖縄問題の起源』で論じたテーマである。
しかし、一方で、沖縄で展開された軍政の内容を紹介するというのは、政治外交史・国際政治史の視点からは外れることが多い。本書ではこれを本土の占領政策と対比させることで、アメリカ政府の本土-沖縄への対応の違い、本土-沖縄間の経済復興状況の違いを際立させる。沖縄の記述量が著者の目的に対して十分であったのかは意見が分かれるところであろうが、本土が「間接的」に占領されていた意味を改めて考える機会にはなった。

2点目の特色であるが、これはあとがきでも触れられているように、著者が戦後初期の中道政権に強く興味を持っていることの表れであろう。民政局のホイットニー、ケーディスを中心にして、社会党政権への期待とテコ入れが強く行われていたことは周知の事実であるが、著者は民政局-社会党政権を「日米「改革」派連合」と呼ぶ。
中道政権への期待の中身は、政治的中立(保守反動への抑制と共産化への牽制)と経済安定施策の実行であった。本書では、組閣後すぐにインフレに対応できなくなり支持急落のきっかけとなった点、傾斜生産方式は第一次吉田内閣を引き継いだものである点、に言及しながらなぜか片山政権の経済政策については及第点を与えている。(評者にはやや甘い評価に見える)。

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