dancyu特別編集「そば」名人 ― 読む、観る、手繰る。「せいろの輝き」ここにあり (プレジデントムック) の感想

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タイトルdancyu特別編集「そば」名人 ― 読む、観る、手繰る。「せいろの輝き」ここにあり (プレジデントムック)
発売日2010-12-15
製作者宮下 裕史
販売元プレジデント社
JANコード9784833471183
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購入者の感想

 なにげなく書店の雑誌の棚で、月刊誌『dancyu』を手にとってペラペラとめくっていたら、連載記事最終回『そば名人の轍〜「手打ち石臼挽き自家製粉」の流れをつくり上げた職人達の今』に魅了され雑誌を買った。著者宮下裕史が、手練れのそば職人の、技と味、そばとの関わり、そして人生観を、そのどっしりとした文体で読者に伝えていた。著者は「食」の分野の職人列伝を書かせたら当代随一だろう。
 歴史的には、こういうことらしい。明治中期の製麺機の登場後、昭和の初期には東京でも手打ちのそば屋はほとんどなくなってしまった。ところが、そば屋ルネッサンスが起こる。1980年代、もっとおいしいそばを志向するそば職人が現れ出した。彼らの共通項は「手打ち石臼挽き自家製粉」だった。そして、この手間のかかる方式が「うまいそば屋」のトレンドとなり、現在ではスタンダードになっている。
 他の職人の記事も読みたいと思った。連載終了後プレジデントムックの形で本書が出た。麺、つゆ、薬味で構成される、いたってシンプルな食べ物だが、本書に出ている名人の作り出すそばはどれもとても個性的で、その名人の生き方そのものを表しているかのようだ。
 たとえば、茨城「慈久庵」の小川宣夫は自ら焼き畑農法でそばを作る。そば畑に自生した雑草を焼き、種をまき、刈り取り、天日干しする。大阪「そば切り凡愚」の真野龍彦の太切りそばは幅、高さが各1センチ以上あるしろものだ。東京「八代目松之助 翁」の中島潤の更級そば見た目はまるで素麺のように純白。このムックは写真と文章のコラボが抜群なのでおもわず引き込まれる。ある人は大判のガイドブックとして使い、またある人は、私のように、写真がきれいで、良質なルポルタージュとして読むのに向いている。

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