こうして会社を強くする (PHPビジネス新書) の感想

　自分は経営に無知であったがゆえに、何を判断するにもすべて物事の本質から考えねばならなかったとは稲盛氏ご本人の述懐です。
　本書の内容も「人間として何が正しいか」を考え抜き、実践してこられたからこそ感得された原理原則を応用した回答集になっています。

　ビジネスを構成するものは、単なるヒト、モノ、カネではなく、むしろモノもカネもそれを用いるヒトに帰するということ。そのことを長い期間、ひと時も手を抜かず集中し、企業を繁栄に導いてきたリーダーは見抜いておられます。
　言葉の向こうに生身の人間が見えてくる珠玉の言葉は今後も多くの経営者を導いてくれるはずです。

　ナンバー２の条件の筆頭に「人柄」を敢えて置く、このような人を見る軸が人を成長させるのだと実感。
　また、書中の「経営１２ヵ条」は、おそらく不易の経営指針となるでしょう。

　そして、名経営者の条件とはとの質問への答えが秀逸です。正しいことは時に論理的な説明ができなくても正しいと言い切る強い心も学ばせていただきました。

　最後のエピソード、経営者としての免許皆伝は心打つ実話でもあり、かくありたいという生き方の指針にもなっています。

　全ての経営者や経営を志す方には強くお勧めしたい一冊。